チャイコフスキー 四季 Op.37bの難易度・解説
四季 1月「炉端にて」
四季 2月「謝肉祭」
四季 3月「ひばりの歌」
四季 4月「松雪草」
四季 5月「白夜」
四季 6月「舟歌」
四季 7月「刈り入れの歌」
四季 8月「収穫」
四季 9月「狩り」
四季 10月「秋の歌」
四季 11月「トロイカ」
四季 12月「クリスマス」
チャイコフスキー 四季 Op.37bの楽曲一覧
チャイコフスキーが作曲したピアノ曲集「四季」には12の楽曲が収録されています。
作曲の経緯は、ペテルブルグの出版社からの依頼によるものであったと伝えられています。
その依頼内容は月ごとの風物詩に関する描写を曲に落とし込むというもの。
作曲された楽曲は音楽雑誌「ヌーヴェリスト」にて、1876年1月~12月の期間、毎月掲載されました。
各曲には表題が与えられ、後の1885年にひとつに集約された「四季」という曲集名で出版されることになります。
曲名 | 調性 | 難易度 |
---|---|---|
四季 1月「炉端にて」 | イ長調 | 5(中級) |
四季 2月「謝肉祭」 | ニ長調 | 6(中級) |
四季 3月「ひばりの歌」 | ト短調 | 4(中級) |
四季 4月「松雪草」 | 変ロ長調 | 5(中級) |
四季 5月「白夜」 | ト長調 | 5(中級) |
四季 6月「舟歌」 | ト短調 | 5(中級) |
四季 7月「刈り入れの歌」 | 変ホ長調 | 5(中級) |
四季 8月「収穫」 | ロ短調 | 6(中級) |
四季 9月「狩り」 | ト長調 | 6(中級) |
四季 10月「秋の歌」 | ニ短調 | 5(中級) |
四季 11月「トロイカ」 | ホ長調 | 6(中級) |
四季 12月「クリスマス」 | 変イ長調 | 5(中級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
チャイコフスキー 四季 Op.37bの難易度・解説
チャイコフスキー作曲の「四季」の難易度は12曲すべてが「中級」に属しており、「4~6」のランクで分類されています。
3月「ひばりの歌」の難易度は「4(中級)」に設定されており、四季の曲集の中でも特に弾きやすい曲となっています。
四季 1月「炉端にて」
モデラート・センプリチェ・マ・エスプレッシーヴォ、3/4拍子
冒頭から鳴り響く安らかな旋律は暖炉の温もりを想わせ、聴き手の心を落ち着かせます。
また中間部に移るとアルペジオの動きが現れ、哀愁混じりの情景が映し出されます。曲の末尾は繊細な連続音で消え入るかのように曲を閉じます。
調性 | イ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 5:00~6:30 |
難易度 | 5(中級) |
四季 2月「謝肉祭」
アレグロ・ジュスト、2/4拍子
高らかと響く熱狂的な曲風は表題の通り、お祭りの賑やかな光景を映し出します。
3部形式で構成されますが、興奮は終始衰えず、最後は力強いfff(フォルティッシッシモ)で曲を締めくくります。
調性 | ニ長調 |
---|---|
拍子 | 2/4拍子 |
演奏時間 | 2:40~3:10 |
難易度 | 6(中級) |
四季 3月「ひばりの歌」
アンダンティーノ・エスプレッシーヴォ、2/4拍子
ト短調による旋律はまだ肌寒い3月の情景を描きながら、近づく春の気配をひばりの鳴き声で表現します。
スタッカートによる小刻みなフレーズは、まさにひばりの囀りを表現するかのようです。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 2/4拍子 |
演奏時間 | 2:30~3:00 |
難易度 | 4(中級) |
四季 4月「松雪草」
アレグレット・コン・モート・エ・ウン・ポコ・ルバート、6/8拍子
静寂の中に溶け込む柔らかな旋律が印象的、中間部で反復される上行音型は土の中から抜け出した松雪草の強い生命力を表すかのようです。伴奏は休符を挟んだ連続音でゆっくり進みます。
調性 | 変ロ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 2:20~2:50 |
難易度 | 5(中級) |
四季 5月「白夜」
アンダンティーノ、9/8拍子
5月になるとペテルブルクでは白夜が見られます。
主部はその白夜の光景を描くような、穏やかで幻想的な調べが響き渡ります。
ひととき解き放たれたような動的な中間部を挟み、再現部では幻想的な世界観を取り戻します。
調性 | ト長調 |
---|---|
拍子 | 9/8拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:10 |
難易度 | 5(中級) |
四季 6月「舟歌」
アンダンテ・カンタービレ、4/4拍子
夕暮れの情景を想わせるような哀愁を帯びた旋律が特徴、
中間部は陽気で心弾むような足取りで進みますが、再現部の直前で身震いするような戦慄が走り、急転するように主部に戻ります。再現部は対旋律とアルペジオの変化により煌めきが増し、一層深みのある情景を表現します。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:40~5:50 |
難易度 | 5(中級) |
四季 7月「刈り入れの歌」
アレグロ・モデラート・コン・モート、4/4拍子
農家の畑仕事の様子を描いた作品、民謡風の音色はチャールダーシュの曲風に変化しながら鳴り響き、終曲まで意気揚々と歌われます。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 1:50~2:10 |
難易度 | 5(中級) |
四季 8月「収穫」
アレグロ・ヴィヴァーチェ、6/8拍子
繁忙な収穫期の一日をそのまま描いたような作品。「農作物を目まぐるしく穫りこむ様子」と「疲れを癒すひと時の休息」、それぞれの光景を主部と中間部に落とし込んでいます。
調性 | ロ短調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 3:10~4:30 |
難易度 | 6(中級) |
四季 9月「狩り」
アレグロ・ノン・トロッポ、4/4拍子
勇壮に立ち向かう狩人と躍動感あふれる動物の様子が表現されています。
力強く進行する和音と、動物の足取りを表現するような3連符の音型が特徴です。
調性 | ト長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 2:30~3:10 |
難易度 | 6(中級) |
四季 10月「秋の歌」
アンダンテ・ドロローソ・エ・モルト・カンタービレ、4/4拍子
物寂しく憂いを帯びた旋律が響き、枯葉が舞う薄寒い秋の情景を連想させます。
3部形式で描かれますが、主部・中間部ともに儚くメランコリックな世界観を描き、終始沈んだ音色が奏でられます。
調性 | ニ短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:40~5:40 |
難易度 | 5(中級) |
四季 11月「トロイカ」
アレグロ・モデラート、4/4拍子
「トロイカ」とは3頭で引く馬ぞりのこと、
冒頭はロシア民謡を想わせる素朴な旋律が歌われ、中間部ではトロイカの活発な足取りを表現するような軽快な動きが現れます。再現部に見られる高音の音色は優しく舞う雪の様子を映し出すかのようです。
調性 | ホ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 2:50~3:30 |
難易度 | 6(中級) |
四季 12月「クリスマス」
テンポ・ディ・ヴァルス、3/4拍子
明るく心躍る旋律がワルツのリズムで鳴り響きます。温かく包容力のある曲風で、クリスマスの夜に悦びの表情ではしゃぐ娘たち様子が映し出されます。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 4:10~5:00 |
難易度 | 5(中級) |
- 2024年12月25日、記事内容を更新