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シューマン ピアノソナタ第1番・第2番・第3番の難易度・解説

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シューマン ピアノソナタ一覧

シューマンは46年間の人生の中、3つのピアノソナタを手掛けています。
各曲規模・構想に違いが見られるものの、シューマンらしいロマンティックな情感を備え、優美で幻想的な世界観が存分に表現されています。

第2番の作品番号がOp.22に対して、第3番の作品番号がOp.14と順番に入れ違いが生じているのは、第2番は出版時に「作品番号がなし」の状態で扱われ、後に作品番号が付与されたためです。
また第3番に関しては、1836年に初版が発行されますが、後の1853年、スケルツォの挿入など多数の修正を加えた改訂版が出版されています。



曲名 調性 作品番号 難易度
ピアノソナタ 第1番 嬰ヘ短調 Op.11 9(上級)
ピアノソナタ 第2番 ト短調 Op.22 8(上級)
ピアノソナタ 第3番 ヘ短調 Op.14 8(上級)

※1:難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
※2:上記一覧表の調性は、第1楽章の調性を記載しています。

シューマン ピアノソナタの難易度・解説

シューマン作曲のピアノソナタ第1番の難易度は「9(上級)」に分類、後続のピアノソナタ第2番・第3番も「8(上級)」と高難度のランクに設定されており、すべてが上級者向けの楽譜として扱われます。

ピアノソナタ 第1番 Op.11

  • 第1楽章:厳かな雰囲気で奏される導入、主部に入ると波打つ音型を左右の手が応答し合うよう反復しながら進行、スタッカートの連続音を含めながら躍動的な動きを見せます。穏やかな第2主題を挟み、華々しく勢いづいた展開部と再現部を経て静かに曲を結びます。
  • 第2楽章:麗しいアリアの旋律が印象的、中間部はやや厚みを持って表情豊かに奏されます。ここでの主題は第1楽章の導入主題を基本としています。
  • 第3楽章:「A-B-A-C-A」の構成で進行、Aはユーモアを持って、はしゃぎ回るように始まるスケルツォ、Bでは主旋律を内声部に移し優雅な響きをもたらします。Cは間奏曲として添えられ、独特なアクセントを挟みながら華麗な音色を奏でます。
  • 第4楽章:力強い和音で開始するフィナーレ、調性とリズムを目まぐるしく変えながら長大な構成で書かれています。熱い情熱を抱きながら意気揚々と進行します。



作曲年 1832年~1835年
調性 嬰ヘ短調(第1楽章)
イ長調(第2楽章)
嬰ヘ短調(第3楽章)
嬰ヘ短調(第4楽章)
拍子 3/4拍子(第1楽章)
3/4拍子(第2楽章)
3/4拍子(第3楽章)
3/4拍子(第4楽章)
難易度 9(上級)

ピアノソナタ 第2番 Op.2

  • 第1楽章:鋭い和音で開始するこの楽曲は、揺れ動く伴奏と共に幻想的な響きを生み出します。第1主題は緊張感を持ちながらやや冷淡に奏され、第2主題は簡潔ながら穏和で温もりを持ったもの、転調を重ねながら2つの主題を巧みに操り、最後は力強く加速し豪快に曲を閉じます。
  • 第2楽章:甘美で情緒的な雰囲気漂う旋律、懐が広く自由な変奏が繰り広げられます。
  • 第3楽章:突進的に奏される力強い導入から、オクターブによる下行音型にフレーズが繋がれます。主部ではf(フォルテ)とp(ピアノ)の起伏を明確に表し、後続にはシンコペーションを用いた穏やかなトリオが添えられます。
  • 第4楽章:トレモロ風に揺れ動く嵐のような楽節を主に、情緒的で落ち着きのある対照的な楽節を挟み、大きな起伏を作りながら進行します。終局は薄霧漂う幻想的な音型から主題の動機に発展し、華々しく曲を締めくくります。



作曲年 1833年~1835年
調性 ト短調(第1楽章)
ハ長調(第2楽章)
ト短調(第3楽章)
ト短調(第4楽章)
拍子 2/4拍子(第1楽章)
6/8拍子(第2楽章)
3/4拍子(第3楽章)
2/4拍子(第4楽章)
難易度 8(上級)

ピアノソナタ 第3番 Op.14

  • 第1楽章:激しく力強く、崩れ落ちるようなオクターブによる導入、波打つ伴奏に溶け込み幻想的な第1主題が繰り広げられます。第2主題は小刻みなリズムでユーモアを持って奏されます。導入に現れる衝撃的な動機は曲の中で三度扱われ、終盤は流麗なコーダの繋ぎとして活用されます。
  • 第2楽章:オクターブと和音による厚みのある音色で意気揚々と奏される主題、スタッカートのアクセントを巧みに使い活発でポジティブな印象を強めます。トリオでは一時優雅な表情を見せますが、曲全体としては力を秘めた精力的な雰囲気が感じ取れます。
  • 第3楽章:「クララヴィークの主題による変奏曲」として有名な楽曲、切ない情感を秘めた主題で始まり、後に4つの変奏が繰り広げられます。速度を上げながら煌びやかに奏される演奏は、徐々に情熱を帯び、心に訴えかける音色を響かせます。変幻自在なリズムと共に熱を冷まし、最後は減衰する和音の連続で曲を閉じます。
  • 第4楽章:3連符と共に慌ただしく疾走する第1主題、冒頭から激しく飛び回る曲調が印象付けられますが、途中差し込まれる第2主題は優しさに満ち、温かな包容力を備えたもの。



作曲年 1835年~1836年
調性 ヘ短調(第1楽章)
変ロ短調(第2楽章)
ヘ短調(第3楽章)
ヘ長調(第4楽章)
拍子 4/4拍子(第1楽章)
3/4拍子(第2楽章)
2/4拍子(第3楽章)
2/4拍子(第4楽章)
難易度 8(上級)
  • 2025年6月16日、記事内容を更新