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シューマン クライスレリアーナの難易度・解説

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シューマン クライスレリアーナの楽曲一覧

クライスレリアーナはシューマンが28歳の時に作曲したピアノ曲、
作風は豪華絢爛かつ百花繚乱、構成される8つの曲は優美でありながらも、各曲がテンポと曲想の対比を際立たせることで彩り豊かな世界観を表現しています。譜面の初版は1838年に出版、後1850年には第2曲・第4曲・第5曲に修正が加えられた改訂版が発行されています。
(クライスレリアーナのタイトルには「クライスラーの肖像」の意が込められています。このクライスラーは、シューマンが愛読していた小説家ホフマンの作品「カロ風の幻想画集」の登場人物を指しています)

曲番号 標語 調性 難易度
第1曲 激しく動いて ニ短調 8(上級)
第2曲 心をこめて、速すぎずに 変ロ長調
第3曲 激しく駆り立てられて ト短調
第4曲 きわめて遅く 変ロ長調
第5曲 きわめて生き生きと ト短調
第6曲 きわめて遅く 変ロ長調
第7曲 非常に速く ハ短調
第8曲 速く、戯れるように ト短調

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

シューマン クライスレリアーナの難易度・解説

煌びやかで麗しく、繊細な彩りを成すシューマンの傑作「クライスレリアーナ」は「8(上級)」の難易度に属し、上級者向けの楽譜に分類されています。
高速運指や変則リズムなど、高度な技巧処理はもちろんのこと、対照的な8曲が織りなす全体構成を理解し各曲を色彩鮮やかに弾き分ける能力が求められます。



第1曲「激しく動いて」

絶え間なく続く連符の音型と低音部の重音、心の情熱を掻き立てるような旋風的な旋律が響きます。中間部は穏やかな下降音型で落ち着きを見せますが、静寂を打ち破るように主部の旋律が返り、熱い情感を抱きながら曲を結びます。

調性 ニ短調
拍子 2/4拍子
目安演奏時間 2:00~2:50

第2曲「心をこめて、速すぎずに」

「A-B-A-C-A」のロンド形式で構成、夢に陶酔するような幻想的な音色を持つ「主題(A)」、歯切れよく活発なリズムで進む「第1間奏曲(B)」と、流麗な上行音型で形作られる「第2間奏曲(C)」が挟まれます。主題(A)の旋律は、2つの間奏曲の挿入により淡い陰影が際立ち、耽美な情感を強めます。

調性 変ロ長調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 7:00~9:30

第3曲「激しく駆り立てられて」

この曲には「クライスラーに秘められた激情的な性格」が込められている。と考えられています。
主部は付点と連符を用いた不安定なリズムで感情の揺れを表現、中間部はひととき心を静めますが、再現部では不穏な足取りが戻り、コーダでは負の感情が爆発するかのような激動的な動きを見せます。

調性 ト短調
拍子 2/4拍子
目安演奏時間 3:30~4:50

第4曲「きわめて遅く」

前曲の結びから一変、心に訴えかけるような詠嘆的な音色が広がりを見せます。
中間部の旋律はクライスラーの「オンブラ・アドラータ(慕わしき影)」のアリアを想わせる安息に満ちたもの。

調性 変ロ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:20~4:20

第5曲「きわめて生き生きと」

スケルツォ風な雰囲気を持つ曲、緊張感をもって奏される主部と、郷愁感を纏った中間部で構成されます。標語に込められた意の通り、各楽想からは秘められた活力が滲み出ます。

調性 ト短調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 3:00~3:40

第6曲「きわめて遅く」

感慨深く憧れの心情が強く感じ取れる曲、中盤の音色は包容力を備え、子守歌のような温かさを感じさせます。第4曲と同様の標語が用いられ、この曲想にも「オンブラ・アドラータ(慕わしき影)」のアリアを連想させる趣が見られます。

調性 変ロ長調
拍子 12/8拍子
目安演奏時間 3:30~4:50

第7曲「非常に速く」

激震が走るかのような鋭い音型に変貌し、フォルテ・スフォルツァンドが散りばめられた嵐のような楽想が繰り広げられます。激情に駆り立てられた烈火の如き疾走を見せた後は変ロ長調に転じ、安堵に満ちた音色と共に静かに曲を閉じます。

調性 ハ短調
拍子 2/4拍子
目安演奏時間 2:00~2:20

第8曲「速く、戯れるように」

軽妙でどこか足元のおぼつかないリズムが特徴、オスティナートで動く低音が妖しく響き渡ります。後半部は力強い連続音と共に激しく高揚しますが、この楽句を頂点に力尽きたかのように衰弱し、最後は弱々しく曲を締めくくります。

調性 ト短調
拍子 6/8拍子
目安演奏時間 3:00~3:50
  • 2025年6月3日、記事内容を更新