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シューマン 謝肉祭の難易度・解説

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シューマン 謝肉祭 Op.9の楽曲一覧

シューマンの謝肉祭は1834年から1835年に作曲、
21曲の短い楽曲で構成されます。タイトルにはシューマンの知人など様々な人物の名前が付けられており、
タイトルの登場人物が舞台の上で演じ合う、そんな仮面舞踏会的な音楽劇が表現されています。



曲名 調性 難易度
謝肉祭 第1曲「前口上」 変イ長調 6(中級)
謝肉祭 第2曲「ピエロ」 変ホ長調 4(中級)
謝肉祭 第3曲「アルルカン」 変ロ長調 5(中級)
謝肉祭 第4曲「高貴なワルツ」 変ロ長調 5(中級)
謝肉祭 第5曲「オイゼビウス」 変ホ長調 5(中級)
謝肉祭 第6曲「フロレスタン」 ト短調 6(中級)
謝肉祭 第7曲「コケット」 変ロ長調 5(中級)
謝肉祭 第8曲「返事」 ト短調 5(中級)
謝肉祭 第9曲「蝶々」 変ロ長調 6(中級)
謝肉祭 第10曲「躍る文字 (A.S.C.H.-S.C.H.A.)」 変ホ長調 5(中級)
謝肉祭 第11曲「キアリーヌ」 ハ短調 5(中級)
謝肉祭 第12曲「ショパン」 変イ長調 4(中級)
謝肉祭 第13曲「エストラレ」 ヘ短調 6(中級)
謝肉祭 第14曲「めぐり会い」 変イ長調 7(上級)
謝肉祭 第15曲「パンタロンとコロンビーヌ」 ヘ短調 6(中級)
謝肉祭 第16曲「ワルツアルマンド(ドイツ風ワルツ)」 変イ長調 5(中級)
謝肉祭 間奏曲「パガニーニ」 ヘ短調 8(上級)
謝肉祭 第17曲「告白」 ヘ短調 3(初級)
謝肉祭 第18曲「プロムナード」 変ニ長調 5(中級)
謝肉祭 第19曲「休息」 変イ長調 6(中級)
謝肉祭 第20曲「フィリシテ人と闘うダヴィッド同盟の行進」 変イ長調 7(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

シューマン 謝肉祭 Op.9の難易度・解説

シューマンの謝肉祭は、大半の曲が4~6ランクの難易度に属しており、ピアノ中級者が挑戦しやすいレベルとなっています。第14曲「めぐり会い」、間奏曲「パガニーニ」、第20曲「フィリシテ人と闘うダヴィッド同盟の行進」のみ上級レベルに属しており、高度な技巧が求められます。
曲全体の舞台劇を表現することがこの作品の醍醐味ではありますが、曲それぞれが個性を持っているため、単独の楽曲に挑戦してみるのも良いでしょう。第12曲「ショパン」など、優雅で夜想曲的な旋律はとても印象深く、個々の演奏でも十分な演出効果が期待できます。



謝肉祭 第1曲「前口上」

クアジマエストローソ、3/4拍子
にぎやかな祭典の開始を期待させるファンファーレに始まります。リズミカルできびきびとしたメロディがとても印象的。少しずつテンポを上げ、最後はプレストの速度で曲を沸かせます。

調性 変イ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 2:10~2:40
難易度 6(中級)

謝肉祭 第2曲「ピエロ」

モデラート、2/4拍子
第2曲目以降、イタリアの即興喜劇「コンメディア・デラルテ」の登場人物が現れます。
一人目がこの「ピエロ」、後に第3曲「アルルカン」、第15曲「パンタロンとコロンビーヌ」が登場します。
この第2曲は、のっそりとしたリズムに道化役者らしい少しおどけた印象を与えます。

調性 変ホ長調
拍子 2/4拍子
演奏時間 1:00~1:10
難易度 4(中級)

謝肉祭 第3曲「アルルカン」

ヴィーヴォ、3/4拍子
同じくコンメディア・デラルテの登場人物
軽快に舞台を駆け回るかのような足取り、ピエロとは異なるテンポで聴衆を楽しませます。

調性 変ロ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:50~1:10
難易度 5(中級)

謝肉祭 第4曲「高貴なワルツ」

ウン・ポコ・マエストーソ、3/4拍子
優雅で心に染みる旋律が印象的、この主題は強弱を変え、装飾を加え反復されます。

調性 変ロ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 1:10~2:00
難易度 5(中級)

謝肉祭 第5曲「オイゼビウス」

アダージョ、2/4拍子
この「オイゼビウス」と次曲「フロレスタン」は、シューマンが自身の性格を表現したものと言われています。
オイゼビウスは内向的で穏やか、夢見心地な印象、ゆったりとした伴奏の上に7連音符の旋律が美しく響きます。

調性 変ホ長調
拍子 2/4拍子
演奏時間 1:30~2:10
難易度 5(中級)

謝肉祭 第6曲「フロレスタン」

パッショナート、3/4拍子
前曲の「オイゼビウス」とは反対の性格を持ち、積極的で情熱的な一面を持っています。
不安気で焦りを誘う旋律は数度繰り返されます。

調性 ト短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:50~1:10
難易度 6(中級)

謝肉祭 第7曲「コケット」

ヴィーヴォ、3/4拍子
コケットには「女性の媚」「浮気女」などの意味があります。
付点のリズムで進む軽やかでチャーミングな旋律がどこか挑発的に聴こえます。

調性 変ロ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 1:00~1:30
難易度 5(中級)

謝肉祭 第8曲「返事」

リステッソ・テンポ、3/4拍子
前曲のコケットのフレーズが取り入れらており、コケットに対する男性の「返事」というストーリー性が楽曲に込められています。男性側の不安げで躊躇する表情が曲調に現れています。

調性 ト短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:50~1:10
難易度 5(中級)

謝肉祭 第9曲「蝶々」

プレスティッシモ、2/4拍子
16分音符のあわただしい旋律、風に煽られる蝶々が必死に羽ばたく姿が想像できます。

調性 変ロ長調
拍子 2/4拍子
演奏時間 0:40~1:00
難易度 6(中級)

謝肉祭 第10曲「躍る文字 (A.S.C.H.-S.C.H.A.)」

プレスト、3/4拍子
タイトルの通り「A-S-C-H」「S-C-H-A」のアルファベットの音によって構成される音色が繰り返されます。
軽快で軽妙なスケルツォ風のワルツです。

調性 変ホ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:30~0:50
難易度 5(中級)

謝肉祭 第11曲「キアリーヌ」

パッショナート、3/4拍子
「キアリーヌ」とは、シューマンの愛妻「クララ」の名前をイタリア語で示したものです。
付点のリズムを用い、スフォルツァンド、フォルティッシモの強調表現が散りばめられ、優雅で力強い旋律が響きます。
まるでシューマンのクララへの熱い思いが描かれているかのようです。

調性 ハ短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:50~1:20
難易度 5(中級)

謝肉祭 第12曲「ショパン」

アジタート、6/4拍子
ショパン風の流麗で感傷的な旋律が印象的、主題の旋律は反復され自身の音色に溶け込むように曲を閉じます。
夜想曲を想わせるような情景美に溢れた曲です。

調性 変イ長調
拍子 6/4拍子
演奏時間 1:10~1:40
難易度 4(中級)

謝肉祭 第13曲「エストラレ」

コン・アフェット、3/4拍子、
「エストレラ」は、24歳当時のシューマンが婚約していたエルネスティーネ・フォン・フリッケンを示しています。エルネスティーネとの婚約は短い期間で解消されることとなりますが、この曲はそんな出来事を回想するように、当時の悲しみを吐き出すように情熱的に描かれています。

調性 ヘ短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:20~0:30
難易度 6(中級)

謝肉祭 第14曲「めぐり会い」

アニマート、2/4拍子
16分音符のスタッカートの連打の上に、明るい旋律が奏でられます。
夢のような包容力のある中間部の後、再度調子の良い明るい主題が繰り返されます。

調性 変イ長調
拍子 2/4拍子
演奏時間 1:30~1:50
難易度 7(上級)

謝肉祭 第15曲「パンタロンとコロンビーヌ」

プレスト、2/4拍子
パンタロンとコロンビーヌはイタリアの即興喜劇「コンメディア・デラルテ」に登場する道化師カップルです。
小刻みに動くスタッカートの16分音符、2人のあわただしく飄々とした演技を想像させます。最後の4小節は穏やかな長調で曲を閉じます。

調性 ヘ短調
拍子 2/4拍子
演奏時間 0:50~1:05
難易度 6(中級)

謝肉祭 第16曲「ワルツアルマンド(ドイツ風ワルツ)」

モルト・ヴィヴァーチェ、3/4拍子
間奏曲の「パガニーニ」を挟み大きな存在感を示す優雅なワルツ、
スタッカートの和音連打には勇ましさと力動感が感じ取れます。

調性 変イ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:40~1:00
難易度 5(中級)

謝肉祭 間奏曲「パガニーニ」

プレスト、2/4拍子
ワルツアルマンド(ドイツ風ワルツ)の間奏曲として扱われる曲、高速で鳴り響く音型はいかにもパガニーニらしい奇想的で超絶技巧な一面を備えています。フォルティッシモによる16音符の嵐が吹き荒れるように過ぎ去ります。

調性 ヘ短調
拍子 2/4拍子
演奏時間 1:10~1:20
難易度 8(上級)

謝肉祭 第17曲「告白」

アッショナート、2/4拍子
穏やかでありながらどこか切なさを秘めた旋律が印象的、この旋律はしっとりと鳴り響く高音の和音を挟んで数度反復されます。

調性 ヘ短調
拍子 2/4拍子
演奏時間 0:50~1:10
難易度 3(初級)

謝肉祭 第18曲「プロムナード」

コモド、3/4拍子
前曲のしっとりとした楽曲とは対照的、主題の旋律にはスフォルツァンドの強調表現が多用され、活気にあふれたワルツです。最後はゆっくりピアニッシモとリタルダンドで静寂の中に溶け込むように曲を終えます。

調性 変ニ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 1:50~2:30
難易度 5(中級)

謝肉祭 第19曲「休息」

ヴィーヴォ、3/4拍子
休息というタイトルのイメージと異なり、やや活動的で力のこもった楽曲です。
第1曲「前口上」の旋律を用いて、曲全体の再現部の役割を担っています。

調性 変イ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 0:15~0:20
難易度 6(中級)

謝肉祭 第20曲「フィリシテ人と闘うダヴィッド同盟の行進」

ヴィーヴォ、3/4拍子
厚みのある和音が鳴り響く、堂々と勇ましい行進曲、
徐々に小刻みなテンポに変化し、流麗な旋律を奏で始めます。最後は高音域を十分に活かした華やかなコーダで終局を迎えます。

調性 変イ長調
拍子 3/4拍子
演奏時間 3:20~4:30
難易度 7(上級)
  • 2024年9月3日、記事内容を更新