スカルラッティ ソナタの難易度・解説
ソナタ K.9(L.413)
ソナタ K.20(L.375)
ソナタ K.27(L.449)
ソナタ K.30(L.499)
ソナタ K.141(L.422)
ソナタ K.159(L.104)
ソナタ K.380(L.23)
ソナタ K.454(L.184)
ソナタ K.460(L.324)
スカルラッティ ソナタの楽曲一覧
スカルラッティのソナタは500曲以上の譜面が存在しますが、
多くの作品は生前に出版されず、世に知られることはありませんでした。
そしてスカルラッティ没後、約150年が経過した1906年にアレッサンドロ・ロンゴによって544曲が収録された初のソナタ集が出版。このソナタ集の作品番号はロンゴ(Longo)の頭文字をとった「Lナンバー」で分類されることになります。
しかし、このLナンバーは作曲年代の順番を考慮することなく付与されており、時代別の区分が難しかったため、後にアメリカのラルフ・カークパトリックにより改訂版が出版されることとなります。この改訂版は全555曲が収録されており、作品番号には時代別に並んだ「Kナンバー」が付与されています。
数多く存在するスカルラッティのソナタですが、近年特に人気の高い曲を抜粋して以下一覧にまとめます。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
ソナタ | ニ短調 | K.9(L.413) | 5(中級) |
ソナタ | ホ長調 | K.20(L.375) | 7(上級) |
ソナタ | ロ短調 | K.27(L.449) | 5(中級) |
ソナタ | ト短調 | K.30(L.499) | 6(中級) |
ソナタ | ニ短調 | K.141(L.422) | 7(上級) |
ソナタ | ハ長調 | K.159(L.104) | 5(中級) |
ソナタ | ホ長調 | K.380(L.23) | 5(中級) |
ソナタ | ト長調 | K.454(L.184) | 7(上級) |
ソナタ | ハ長調 | K.460(L.324) | 6(中級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
スカルラッティ ソナタの難易度・解説
スカルラッティは500曲以上のソナタを作曲していますが、
近年演奏に用いられる人気曲は概ね、中級~上級の難易度に収まっています。
その中でも穏やかで情景美溢れる人気曲「ソナタ K.9」や「ソナタ K.380」は「5(中級)」、荘厳で臨場感あふれる「ソナタ K.30(猫のフーガ)」は「6(中級)」のランクに属しています。
ソナタ K.9(L.413)
アレグロ、6/8拍子
「パストラーレ(牧歌)」の名で親しまれているソナタ。ゆったりとした旋律の中に散りばめられた美しい装飾音が印象的です。牧歌的な情景の中に可憐であどけない一面が感じられます。
この表題はスカルラッティ自身が付けたものではなく、19世紀になってから添えられたものと言われています。
調性 | ニ短調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 3:20~4:10 |
難易度 | 5(中級) |
ソナタ K.20(L.375)
プレスト、2/4拍子
晴れ晴れと調子の良い曲調、中間部の強拍不協和音が風変わりでおどけた雰囲気を強く印象付けます。
調性 | ホ長調 |
---|---|
拍子 | 2/4拍子 |
演奏時間 | 3:20~4:10 |
難易度 | 7(上級) |
ソナタ K.27(L.449)
アレグロ、3/4拍子
哀愁漂う旋律が特徴的、響く音色の奥に神秘的な印象が感じられます。
左手の伴奏が右手の演奏に交差する動きは、聴き手にダイナミックな視覚的効果を与えます。
調性 | ロ短調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 3:30~4:30 |
難易度 | 5(中級) |
K.30(L.499)
フーガ、モデラート、6/8拍子
重みのある低音の伴奏の上に流れる妖艶な旋律、二重対位法で書かれた二声の音色は鮮明に響き渡り、徐々に重みを増しながら繰り返されます。
「ネコが鍵盤の上を歩く様子から生まれた曲」とエピソードから、この曲には「猫のフーガ」という名前が付けられてます。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 2:20~2:50 |
難易度 | 6(中級) |
ソナタ K.141(L.422)
アレグロ、3/8拍子
高速で連打される同一音の旋律は、ギターのトレモロ奏法を連想させます。
沈んだ曲調で、暗雲の中を駆け巡るような不安げな旋律が16分音符で絶え間なく続きます。
左右の手が交差するポイントもあり、左手の柔軟な跳躍が求められます。
調性 | ニ短調 |
---|---|
拍子 | 3/8拍子 |
演奏時間 | 3:20~4:20 |
難易度 | 7(上級) |
ソナタ K.159(L.104)
アレグロ、6/8拍子
小刻みかつリズミカルな主題、抑揚を押し込めながら、淡々と主題が繰り返されます。
主題の音色は狭い高音域で絡み合いながら鳴り響きます。
調性 | ハ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 2:30~3:00 |
難易度 | 5(中級) |
ソナタ K.380(L.23)
アンダンテ・コモド、3/4拍子
優しく繊細な旋律、子供や小動物を連想させるような愛らしさがあり、時折現れる軽快なリズムはまるで「おもちゃの行進」のようです。
調性 | ホ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 5:00~5:30 |
難易度 | 5(中級) |
ソナタ K.454(L.184)
アンダンテ・スピリトーソ、3/4拍子
心が澄み渡るような晴れ晴れとした楽曲、19小節目以降、急速に上下する軽やかな音色は、飛び回る小鳥のように自由で軽快な無邪気さを持っています。
調性 | ト長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 4:30~5:10 |
難易度 | 7(上級) |
ソナタ K.460(L.324)
アレグロ、4/4拍子
スカルラッティのソナタの中では長大な作品、始まりの主題は軽快で楽しげな印象、楽曲の中で多彩な表情を見せながら繰り返されます。プラルトリラーの装飾音が散りばめられた流れるような旋律が特徴、時折力強い和音による変化が加わります。
調性 | ハ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:00~6:00 |
難易度 | 6(中級) |
- 2024年11月20日、記事内容を更新