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ラフマニノフ 前奏曲の難易度・解説

ラフマニノフ 前奏曲 top_000

ラフマニノフ 前奏曲一覧

ラフマニノフは生涯に、24曲の前奏曲を作曲しています。
初の作品は複数の曲で束ねられた前奏曲集ではなく、Op.3の小品集に含まれる単独の前奏曲として書かれています。このOp.3が作曲された年は1892年、後にラフマニノフは18年の時を経て、「10の前奏曲集」と「13の前奏曲集」を書きあげ、
ショパン、スクリャービンの前奏曲同様、すべての調性を散りばめた前奏曲集を完成させます。「10の前奏曲 Op.23」の作曲年は1903年、「13の前奏曲 Op.32」は1910年と記録されています。



【前奏曲 Op.3】

曲名 調性 作品番号 難易度
前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2 5(中級)

【10の前奏曲 Op.23】

曲名 調性 作品番号 難易度
前奏曲 第1番 嬰ヘ短調 Op.23-1 6(中級)
前奏曲 第2番 変ロ長調 Op.23-2 8(上級)
前奏曲 第3番 ニ短調 Op.23-3 7(上級)
前奏曲 第4番 ニ長調 Op.23-4 6(中級)
前奏曲 第5番 ト短調 Op.23-5 7(上級)
前奏曲 第6番 変ホ長調 Op.23-6 6(中級)
前奏曲 第7番 ハ短調 Op.23-7 8(上級)
前奏曲 第8番 変イ長調 Op.23-8 8(上級)
前奏曲 第9番 変ホ短調 Op.23-9 9(上級)
前奏曲 第10番 変ト長調 Op.23-10 6(中級)

【13の前奏曲 Op.32】

曲名 調性 作品番号 難易度
前奏曲 第1番 ハ長調 Op.32-1 7(上級)
前奏曲 第2番 変ロ短調 Op.32-2 8(上級)
前奏曲 第3番 ホ長調 Op.32-3 8(上級)
前奏曲 第4番 ホ短調 Op.32-4 9(上級)
前奏曲 第5番 ト長調 Op.32-5 7(上級)
前奏曲 第6番 ヘ短調 Op.32-6 9(上級)
前奏曲 第7番 ヘ長調 Op.32-7 6(中級)
前奏曲 第8番 イ短調 Op.32-8 8(上級)
前奏曲 第9番 イ長調 Op.32-9 8(上級)
前奏曲 第10番 ロ短調 Op.32-10 7(上級)
前奏曲 第11番 ロ長調 Op.32-11 5(中級)
前奏曲 第12番 嬰ト短調 Op.32-12 7(上級)
前奏曲 第13番 変ニ長調 Op.32-13 9(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。



ラフマニノフ 前奏曲 Op.3の難易度・解説

Op.3-2はラフマニノフが作曲した「幻想小品集」に収録されている前奏曲です。
全5曲で構成されるこの小品集の第2曲目が前奏曲「鐘」に該当、
この曲集は1892年に作曲されており、この年はラフマニノフが音楽院を卒業した19歳の時の作品となります。
難易度は5(中級)でラフマニノフの作品の中では比較的低めのランクに当たります。

前奏曲 Op.3-2 「鐘」

レント、4/4拍子
低音のフォルティッシモによる重々しい導入から始まり、ピアノピアニッシモによる遠い静寂の鐘のような旋律が鳴り響きます。荘厳で抒情的な情景の中、中間部には嵐のように吹き荒れる劇的な表情も見せます。
この曲はクレムリン宮殿の鐘の音から着想を得て作曲されたと言われており、主部、中間部と様々な場面で大小様々な鐘の音が連想されます。

調性 嬰ハ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 4:20~5:20
難易度 5(中級)

ラフマニノフ 前奏曲 Op.23の難易度・解説

Op.23の前奏曲は全10曲で構成されます。
難易度は6(中級)~9(上級)に属し、脱中級者レベルの技術が求められます。
最難関のOp.23-9は急速で流れる16分音符の重音を弾き分ける正確さと手首・指の運動能力が求められます。

前奏曲 第1番 Op.23-1

ラルゴ、4/4拍子
哀愁漂う抒情的な旋律が印象的な曲、16分音符の分散和音の伴奏に溶け込むように歌われます。

調性 嬰ヘ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:10~4:20
難易度 6(中級)

前奏曲 第2番 Op.23-2

マエストーソ、4/4拍子
左手のアルペッジョの上に右手の力強い主題が鳴り響きます。
中間部ではかすかにメランコリックな表情を見せ、アレンジした主題を再現し、華々しく曲を閉じます。
雄大でありながら、喜びの祝祭を表現したような曲に仕上がっています。

調性 変ロ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:00~4:00
難易度 8(上級)

前奏曲 第3番 Op.23-3

テンポ・ディ・メヌエット、3/4拍子、3部形式
マズルカのような舞曲を想像させる曲調、中間部に高揚感はピークを迎え、主部の再現後は長いコーダを経て消えゆくように曲を閉じます。

調性 ニ短調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 2:50~4:20
難易度 7(上級)

前奏曲 第4番 Op.23-4

アンダンテ・カンタービレ、3/4拍子
3連音符が連なる滑らかな伴奏の中に、哀愁の帯びた旋律が流れます
第19小節以降、分散和音の伴奏に変化、3連音符の音色は主旋律の上方に回ります。
感傷的で涙を誘うような旋律はショパンのノクターンを彷彿させます。

調性 ニ長調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 3:40~5:30
難易度 6(中級)

前奏曲 第5番 Op.23-5

アラ・マルチャ、4/4拍子
行進曲風な曲調に始まり、徐々に劇的な展開を見せます。
中間部は、緊張感のあるアルペッジョ伴奏に悲哀を帯びた旋律が響き渡り、
主部の再現後、短いコーダで曲を締めくくります。

調性 ト短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:20~4:20
難易度 7(上級)

前奏曲 第6番 Op.23-6

アンダンテ、4/4拍子
波のように上下する16分音符の伴奏の中、響く静かな旋律はまるで夜想曲の情景を連想させます。
終始絶えず滑らかな美しい旋律を味わった後は、低音域と高音域を往復する柔らかなコーダで曲を閉じます。

調性 変ホ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:50~3:30
難易度 6(中級)

前奏曲 第7番 Op.23-7

アレグロ、4/4拍子
絶叫するような苦しみの声が響き渡る、そんな世界観を連想させる曲、
途中コラールのような旋律が現れるが、これもまた絶望的な情感に拍車をかける。
終始レガートで流れる16分音符のパッセージが焦燥感を掻き立てています。

調性 ハ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:20~3:10
難易度 8(上級)

前奏曲 第8番 Op.23-8

アレグロ・ヴィヴァーチェ、3/2拍子
16分音符の分散和音の中に、ショパンのような繊細な旋律が溶け込みます。
絶えず華麗な音色を響かせ、最後はコラール風のコーダで優しく曲を閉じます。

調性 変イ長調
拍子 3/2拍子
目安演奏時間 2:50~3:30
難易度 8(上級)

前奏曲 第9番 Op.23-9

プレスト、4/4拍子
左手の分散和音の上で、右手は3度から6度の和音が半音階的に動き回ります。
重音の動きに重点を置いたエチュード的な曲です。

調性 変ホ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 1:50~2:20
難易度 9(中級)

前奏曲 第10番 Op.23-10

ラルゴ、3/4拍子、3部形式
和音連打を伴奏の上に、美しくの穏やかな旋律が響きます。
コラール的などこか慰めを求めるような心情が感じられます。

調性 変ト長調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 3:50~4:20
難易度 6(中級)

ラフマニノフ 前奏曲 Op.32の難易度・解説

Op.32の前奏曲は全13曲、
全体的に難易度が高く大半の曲が上級クラスに属します。
高速な運指能力はもちろんのこと、Op.32-4など劇的でドラマティックな楽曲には腕の力と全体の起伏を整える構成力も求められます。



前奏曲 第1番 Op.32-1

アレグロ・ヴィヴァーチェ、2/2拍子
3連音符を中心に書かれており、半音階的な動作が目立ちます。
鬼気迫るような圧力と共に前進するエネルギッシュな曲です。

調性 ハ長調
拍子 2/2拍子
目安演奏時間 1:10~1:40
難易度 7(上級)

前奏曲 第2番 Op.32-2

アレグレット、9/8拍子、3部形式
冒頭は優美なシチリアーナ風の旋律が響きます。
中間部は小刻みに駆け回るパッセージが展開され、
その後は和声とテンポを変化させた主部が再現され、スケルツォ風なコーダで曲を閉じます。

調性 変ロ短調
拍子 9/8拍子
目安演奏時間 2:40~3:20
難易度 8(上級)

前奏曲 第3番 Op.32-3

アレグロ・ヴィヴァーチェ、4/4拍子
行進曲風な最初の主題は、和声と調を変えながら複数回反復されます。
華やかな情景は終始絶えることなく、祝祭を想わせる楽しげな世界が広がります。

調性 ホ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:10~2:40
難易度 8(上級)

前奏曲 第4番 Op.32-4

アレグロ・コン・ブリオ、4/4拍子、3部形式
左右の3連音符が交錯するしながら進む劇的でドラマティックな楽想、
勇壮に進行する和音の頂点には力強いフォルティッシモが求められます。

調性 ホ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 4:20~5:30
難易度 9(上級)

前奏曲 第5番 Op.32-5

モデラート、4/4拍子
無言歌風で抒情的な曲、冒頭から自然の中に溶け込んだような美しい情景が映し出されます。
途中短調に変化しますが、瞬く間に心が洗われるような旋律を取り戻します。
最後は優しい風に包まれるようなピアニッシモで曲を閉じます。

調性 ト長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:00~3:30
難易度 7(上級)

前奏曲 第6番 Op.32-6

アレグロ・アパッショナート、2/4拍子
終始衰えることのない、6連音符を主体とした激しいパッセージ、
短い楽曲の中に、情熱的な感情が詰め込まれた作品です。

調性 ヘ短調
拍子 2/4拍子
目安演奏時間 1:20~1:50
難易度 9(上級)

前奏曲 第7番 Op.32-7

モデラート、2/2拍子
伴奏の中に添えられた16分音符の後打ち音が特徴的、
心が洗われるような旋律が響き、後半は連音符の旋律で変化をつけながら歌われます。

調性 ヘ長調
拍子 2/2拍子
目安演奏時間 2:00~2:30
難易度 6(中級)

前奏曲 第8番 Op.32-8

ヴィーヴォ、6/4拍子
軽快でありながら、どこか勇ましさを秘めた曲、
絶えず動き回る右手の分散和音と共に高揚感が増し続け、最後は一息を置き、はじけるように曲を閉じます。

調性 イ短調
拍子 6/4拍子
目安演奏時間 1:40~2:10
難易度 8(上級)

前奏曲 第9番 Op.32-9

アレグロ・モデラート、9/8拍子
冒頭は装飾的な16分音符の旋律が低音部で重厚に鳴り響き、中間部にはその旋律が高音部に移行します。
変拍子が多く連音符が多彩に盛り込まれているため、正確なリズムの弾き分けが必要となる曲です。

調性 イ長調
拍子 9/8拍子
目安演奏時間 2:20~3:00
難易度 8(上級)

前奏曲 第10番 Op.32-10

レント、4/4拍子、3部形式
静かな旋律の哀愁に満ちたな曲、寂しげな主題から一変して中間部は厚く荘厳な和音が鳴り響きます。
この曲はスイス出身の画家アーノルド・ベックリンの作品「帰還」の情景を表現したものと言われています。

調性 ロ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 5:10~6:20
難易度 7(上級)

前奏曲 第11番 Op.32-11

アレグレット、3/8拍子
舞曲調でありながら民族的な印象を持つ曲、
温かみのある音色に包まれながら曲は進み、最後の音色はピアノピアニッシモでふっと姿を消します。

調性 ロ長調
拍子 3/8拍子
目安演奏時間 2:00~2:30
難易度 5(中級)

前奏曲 第12番 Op.32-12

アレグロ、12/8拍子
鈴の音を連想させる分散和音を響かせながら、仄暗くメランコリックな左手の伴奏が流れます。
右手の音色が生み出す情景描写が美しく、まるで静かな湖畔の水面の揺らめきのような世界が連想されます。

調性 嬰ト短調
拍子 12/8拍子
目安演奏時間 2:20~2:50
難易度 7(上級)

前奏曲 第13番 Op.32-13

グラーヴェ、4/4拍子
葬送曲を連想させる静かさとゆっくりとした導入に始まり、中間部までは同様に慰めの心情が続きます。
短調への転じて、連音符による伴奏と暗雲が立ち込めるような不穏な旋律が響きます。
暗雲を抜けた後は、明るく開放感に満ちた心情で前奏曲の終局を迎えます。

調性 変ニ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 4:10~6:00
難易度 9(上級)
  • 2024年9月3日、記事内容を更新