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ラフマニノフ ピアノソナタ第1番・第2番の難易度・解説

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ラフマニノフ ピアノソナタ一覧

ラフマニノフは2つのピアノソナタを残しています。
第1番は1907年、第2番は1913年に作曲しており、ラフマニノフが33~40歳の時期に手掛けた作品となります。第2番に関しては、ラフマニノフ自身が作品の出来に不満を抱き1931年に改訂、対位法を強調した声部を中心に削減を図り、譜面からは120小節分が除外され再出版されています。

曲名 調性 作品番号 難易度
ピアノソナタ 第1番 ニ短調 Op.28
ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36 9(上級)

※1:難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
※2:上記一覧表の調性は、第1楽章の調性を記載しています。

ラフマニノフ ピアノソナタの難易度・解説

ラフマニノフのピアノソナタ第2番の難易度は最高ランクの「9(上級)」に分類されています。
第1楽章・第3楽章では急速なパッセージに伴う運指と慌ただしく揺れ動く強弱表現の処理、そして第2楽章に見られる繊細優美な旋律に乗せる心情、技巧面・精神面ともに高い熟練度が求められます。



ピアノソナタ 第1番 Op.28

  • 第1楽章:「ファウストソナタ」と呼ばれるこのソナタの第1楽章はファウストの激情的な性格を描いていると言われています。厳粛な序奏から、旋法的で激しい主題が続きます。心の奥で渦巻く苦悩と不安定な情緒を感じさせます。重々しく切迫感を感じさせる表現が全体を占めますが、所々に静かで瞑想的な楽節が挟まれます。
  • 第2楽章:ファウストに登場する少女グレートヒェンが持つ清楚な印象と、彼女の揺れ動く心情が描かれていると考えられています。温もりと慈愛に満ちた旋律から始まり、中間部は16分音符の音型で動きを速め感傷的な情感は頂点を迎えます。
  • 第3楽章:最終楽章は悪魔メフィストフェレスの性格が描かれます。冒頭で奏される力強く動的な主題は、慌ただしく転調を繰り返し度々出現します。中間部は静寂を纏い幻想的な旋律で心を静めますが、主題の激情的な情感が力を蓄えて戻り再度高潮します。幾度と抑揚を経て最後は力強いコーダで曲を締めくくります。
作曲年 1907年
調性 ニ短調(第1楽章)
ヘ長調(第2楽章)
ニ短調(第3楽章)
拍子 2/2拍子(第1楽章)
3/4拍子(第2楽章)
2/2拍子(第3楽章)
難易度



ピアノソナタ 第2番 Op.36

  • 第1楽章:壮烈な下降音とフォルティッシモの和音の導入は魂の叫びのよう、まるで運命に翻弄され掻き乱す精神を暗示するようです。激情的に揺れ動く第1主題と、抒情的で色彩豊かな第2主題で構成され、展開部には技巧の粋を集めた華麗な演出が見られます。再現部はラフマニノフの表現に欠かせない鐘の音色を響かせ、終局は小さな哀愁を込めて終止符が打たれます。
  • 第2楽章:レントの指示で奏される感傷的な音色からはどこか慰めの心が感じ取れます。中間部に入ると旋律は徐々に熱を帯び、訴えかけるような心情と共に最高潮を迎えます。第1楽章の主題を交えながら激情的な心の揺れを表現し後に減衰、最後はピアニシモの響きでささやかな余韻を残し曲を繋ぎます。
  • 第3楽章:郷愁感を纏った短い小節を置き、荒々しく躍動的な第1主題が始まります。第2主題に入ると僅かに落ち着きを見せますが、奥底に忍ばせる情熱は沸々と煮えたぎり、エネルギッシュな展開部に移行、最後は和音の連続音による堂々たるコーダで曲を締めくくります。
作曲年 1913年
1931年(改訂版)
調性 変ロ短調(第1楽章)
ホ長調(第2楽章)
変ロ短調(第3楽章)
拍子 4/4拍子(第1楽章)
4/4拍子(第2楽章)
3/4拍子(第3楽章)
難易度 9(上級)
  • 2025年5月31日、記事内容を更新