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ラフマニノフ エチュード「音の絵」の難易度・解説

ラフマニノフ 音の絵 top_000

ラフマニノフ 音の絵の楽曲一覧

ラフマニノフは「音の絵」のタイトルで2つの練習曲集を作曲しています。
1911年に作曲されたOp.33と、1916年~1917年に作曲されたOp.39が存在します。
楽曲数は全17曲で、当初Op.33に9曲、Op.39に8曲が収録されていました。
ところが、後にOp.33-4に改定が加わったため、この曲がOp.39-6に割り込む形となりました。
その結果、欠番となったOp.33-4を埋めるため「Op.33-5からOp.33-9」は「Op.33-4からOp.33-8」へ繰り上がる形で作品番号が修正されました。
出版されている音の絵の楽譜は、改定前と改定後で作品番号に差異があるため注意が必要となります。



【エチュード「音の絵」 Op.33】

曲名 調性 作品番号 難易度
音の絵 第1番 ヘ短調 Op.33-1 6(中級)
音の絵 第2番 ハ長調 Op.33-2 7(上級)
音の絵 第3番 ハ短調 Op.33-3 9(上級)
音の絵 第4番 ニ短調 Op.33-4(改定前:Op.33-5) 8(上級)
音の絵 第5番 変ホ短調 Op.33-5(改定前:Op.33-6) 7(上級)
音の絵 第6番 変ホ長調 Op.33-6(改定前:Op.33-7) 9(上級)
音の絵 第7番 ト短調 Op.33-7(改定前:Op.33-8) 7(上級)
音の絵 第8番 嬰ハ短調 Op.33-8(改定前:Op.33-9) 9(上級)

【エチュード「音の絵」 Op.39】

曲名 調性 作品番号 難易度
音の絵 第1番 ハ短調 Op.39-1 9(上級)
音の絵 第2番 イ短調 Op.39-2 8(上級)
音の絵 第3番 嬰ヘ短調 Op.39-3 9(上級)
音の絵 第4番 ロ短調 Op.39-4 8(上級)
音の絵 第5番 変ホ短調 Op.39-5 9(上級)
音の絵 第6番 イ短調 Op.39-6(改定前:Op.33-4) 9(上級)
音の絵 第7番 ハ短調 Op.39-7 8(上級)
音の絵 第8番 ニ短調 Op.39-8 8(上級)
音の絵 第9番 ニ長調 Op.39-9 9(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

ラフマニノフ 音の絵 Op.33の難易度・解説

音の絵Op.33は1911年8月~9月に作曲、ラフマニノフが手がけた初の練習曲となります。
巨大な手を持ったラフマニノフらしい幅広く跳躍の多い伴奏が特徴的、急速に駆け巡るパッセージの処理は高い技術を必要とします。多くの楽曲が上級者向けのランクに属しています。



エチュード「音の絵」Op.33-1

アレグロ・ノン・トロッポ、4/4拍子
行進曲風に進む勇ましい曲、4拍子で始まったリズムは5拍子、3拍子、2拍子と形を変え緩急をつけながら進行します。中間部で現れる一時の光は即座に主題の行進に押しつぶされ、元の曲調に戻ります。反復された主題の後に響くコーダは、遠い鐘の音を連想させ昇天するように消えてゆきます。

調性 ヘ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:20~2:50
難易度 6(中級)

エチュード「音の絵」Op.33-2

アレグロ、12/8拍子、
滑らかに奏でられる分散和音の伴奏の上に、哀愁に満ちた旋律が鳴り響きます。
この主題は反復し、最後はトリルを多用しコラール風に消え入るように曲を終えます。
美しい静寂の湖畔をイメージさせるような情景美溢れる楽曲です。

調性 ハ長調
拍子 12/8拍子
目安演奏時間 2:10~2:40
難易度 7(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-3

グラーヴェ、6/4拍子、2部形式
低音域のオクターブによる重厚な始まり、葬送行進曲を想わせるようなゆっくり重苦しい雰囲気が漂います。
後半部は長調に転じ、慰めのような光を指す情景が開けます。最後は前半の影を払拭するように明るさを保ちながら曲を閉じます。

調性 ハ短調
拍子 6/4拍子
目安演奏時間 3:30~4:30
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-4(改定前:Op.33-5)

モデラート、3/4拍子
スタッカートの打鍵で勇壮に進行する行進曲風の楽曲、開始の4小節のみ3拍子のリズムを刻み、後の主題は4拍子に変化します。この主題は転調を重ねながら反復し、徐々に高揚しドラマティックな盛り上がりを見せます。華麗に鳴り響いた旋律はふっと衰え、ピアニッシモによる高音オクターブと共に静かに消えてゆきます。

調性 ニ短調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 2:40~3:10
難易度 8(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-5(改定前:Op.33-6)

ノン・アレグロ、9/8拍子
2小節の序奏の後、即座に疾風のように吹き抜ける急速な主題が現れます。
終始立ち止まることの無い旋律は、左手の伴奏と交差しながら冷たい音色を奏で続けます。
右手の主旋律だけでなく、左手の伴奏も跳躍やアクセントが多く、高い技術が求められます。

調性 変ホ短調
拍子 9/8拍子
目安演奏時間 1:20~1:40
難易度 7(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-6(改定前:Op.33-7)

アレグロ・コン・フオーコ、2/2拍子
ファンファーレを想わせる和音に始まり、軽快な行進曲風な主題が展開されます。
主題は形を変えながら繰り返されますが、終始お祭りのような賑やかで明るい曲調が続きます。

調性 変ホ長調
拍子 2/2拍子
目安演奏時間 1:40~2:00
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-7(改定前:Op.33-8)

モデラート、4/4拍子、3部形式
緩やかなアルペジオの伴奏に乗った、憂鬱で悲歌的な旋律が印象的です。
中間部はまるで叫びのような高速なパッセージを掻き鳴らし、絶望感を一層強めます。
そしてメランコリックな主題を再現した後、フォルティッシモによる上行音階で終曲を迎えます。

調性 ト短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:30~4:00
難易度 7(上級)

エチュード「音の絵」Op.33-8(改定前:Op.33-9)

グラーヴェ、4/4拍子
強烈な和音による序奏はこの曲の雄大さを予感させ、3オクターブにわたるダイナミックな伴奏と豪快な右手の打鍵は、豪雨の中に鳴り響く稲妻の轟音のようです。フォルティッシモなど強調記号が散りばめられ、力漲る曲調が終局まで緩むことなく続きます。

調性 嬰ハ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:40~3:40
難易度 9(上級)

ラフマニノフ 音の絵 Op.39の難易度・解説

音の絵Op.39は1916年~1917年に作曲、ラフマニノフが43~44歳の時期に書かれており、音楽的にも充実し楽曲には高度な技巧が詰め込まれています。悲哀や哀愁または劇的な楽曲が多く、Op.39-9を除きすべて短調で書かれています。難易度は非常に高く、全曲「8~9(上級)」のランクに属しています。



エチュード「音の絵」Op.39-1

アレグロ・アジタート、4/4拍子
うねる様に鳴り響く不気味な旋律、この主題が繰り返された後、スタッカートの伴奏と3連符の旋律が散りばめられた不規則な中間部に入ります。激情的で圧力の強い主題を再現し、豪快な和音で曲を締めくくります。

調性 ハ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 2:50~3:30
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-2

レント・アッサイ、3/4拍子
哀愁が込められた伴奏と、深い悲しみに溢れた旋律、これらの主題が幾度と繰り返されます。中間部はこの哀しみを激情に変えドラマティックに高音を響かせます。作曲者のラフマニノフはこの楽曲には「海とかもめの情景が描写されている」と述べています。

調性 イ短調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 5:30~6:50
難易度 8(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-3

アレグロ・モルト、9/16拍子、3部形式
高速に駆け巡る情熱的な旋律、燃え盛る炎を想わせるこの主題は何度も反復されます。
上下小刻みに揺れ動く中間部の旋律を経て、最後は流麗なパッセージを響かせ、短3度の連打音で衰退するように曲を閉じます。

調性 嬰ヘ短調
拍子 9/16拍子
目安演奏時間 2:10~2:50
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-4

アレグロ・アッサイ、楽譜に拍子の表記はなく、全体のリズムとしては3/4拍子、2/4拍子、4/4拍子が混在します。スタッカートの連打音が特徴的で行進曲風な楽曲がリズミカルに進行、どこか古典的な印象を持ちバロック音楽の音型も感じられます。

調性 ロ短調
拍子
目安演奏時間 3:20~3:50
難易度 8(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-5

アパッショナート、4/4拍子
厚みのある3連符の和音連打による伴奏の上に、荘厳で威圧感のある旋律が鳴り響きます。
中間部は6連符の分散和音の伴奏にて、主題よりもやや冷淡な印象で進み、主題の再現部に移ります。ここでは旋律が左手に移り、冒頭の主題以上に力強くドラマティックな盛り上がりを見せます。終局はゆっくりと沈静しピアニッシモの伴奏と共に穏やかに曲を閉じます。

調性 変ホ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 4:20~5:30
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-6(改定前:Op.33-4)

アレグロ、3/4拍子
低音の上行半音階による不気味な序奏、主題は軽快な足取りでどこかおどけた印象を持ちます。
曲は徐々に加速、中間部にはピークを迎え、跳躍の激しい伴奏の上に、高音の和音の連鎖が展開されます。
トッカータ風な性格を持っており、リストの楽曲を彷彿させます。

調性 イ短調
拍子 3/4拍子
目安演奏時間 2:20~2:40
難易度 9(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-7

レント、4/4拍子
暗闇が忍び寄るような重厚な和音の序奏、下降するオクターブの音色は悲痛の叫びを連想させます。
スタッカートで淡々と進行する中間部の旋律は、和音により激しさを増し、最後は昇天気味に神秘的な世界を描き穏やかに終局を迎えます。
ラフマニノフはこの曲を葬送行進曲として描いたと述べており、主題の重々しさと中間部の陰鬱な進行が葬送の世界観を的確に表現しています。

調性 ハ短調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 5:40~7:00
難易度 8(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-8

アレグロ・モデラート、9/8拍子
どこか悲しげで郷愁感の漂う旋律、中間部で微かな抑揚を見せますが全体的に悲哀の情感が溢れた作品です。
終盤はスタッカートの小刻みなリズムが現れ、コーダはピアニッシモの音で儚く消えゆきます。

調性 ニ短調
拍子 9/8拍子
目安演奏時間 3:10~3:40
難易度 8(上級)

エチュード「音の絵」Op.39-9

アレグロ・モデラート、4/4拍子、Op.39の練習曲の中で長調の曲はこの1曲のみ、
東洋的な響きが特徴的、リズミカルで民族的舞踊のような祭りの印象が感じられます。
中間部含め、明るく賑やかな曲調は終始保たれ、最後はフォルティッシッシモのコーダで華麗に曲を締めくくります

調性 ニ長調
拍子 4/4拍子
目安演奏時間 3:30~4:10
難易度 9(上級)
  • 2024年9月3日、記事内容を更新