リスト ピアノ編曲作品一覧

リストは生涯に数百を超えるピアノ曲を残しています。その型破りな超絶技巧と豪華絢爛な彩色を施した作風は当時多くの聴衆に衝撃を与え、彼を一躍スターへと押し上げました。
作曲家として広く認識されているリストではありますが、ピアノ演奏家としても類まれなる才能を発揮し、その活動の中で多くのピアノ編曲作品を生み出しています。題材はシューベルト、シューマン、ワーグナー、バッハ、etc…と、時代を超えて幅広く手掛けられ、曲中にはリストらしい華麗で煌びやかな装飾がふんだんに散りばめられています。

曲名	作品番号	作曲者	難易度
タンホイザー序曲	S.443	ワーグナー	9（上級）
イゾルデの愛の死	S.447	ワーグナー	7（上級）
さまよえるオランダ人「紡ぎ歌」	S.440	ワーグナー	7（上級）
献呈	S.566	シューマン	7（上級）
春の夜	S.568	シューマン	7（上級）
白鳥の歌「わが宿」	S.560-3	シューベルト	6（中級）
白鳥の歌「セレナーデ」	S.560-7	シューベルト	5（中級）
ミュラー歌曲集「さすらい」	S.565-1	シューベルト	6（中級）
ミュラー歌曲集「水車屋と小川」	S.565-2	シューベルト	5（中級）

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

リスト ピアノ編曲作品の難易度・解説

リストのピアノ編曲作品は数多く存在しますが、演奏難易度はやや高めで、大半の曲が「中級～上級」クラスに属しています。
シューマンが愛妻クララに捧げた有名曲「献呈」は「7（上級）」の難易度に分類されています。

タンホイザー序曲 S.443

作曲者はワーグナー、オペラ「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」の主要部である「巡礼の合唱」に基づき編曲されています。
冒頭の敢然たる意気込みは、一時暗雲に覆い隠され重々しく歩みを進めますが、徐々に高まりを見せ、晴れやかな合唱部を雄大に奏でます。高まりが静まると、リストらしい凄烈さと華美さを交えた技巧的な楽節を展開し、最後は豪華な装飾を添えて改めて合唱部を結びます。

イゾルデの愛の死 S.447

さまよえるオランダ人「紡ぎ歌」S.440

献呈 S.566

歌曲集「ミルテの花」の第1曲に収められたこの曲は、ロベルトシューマンが結婚式前夜に、妻クララへ贈った恋歌と言われています。
愛情に満ちた耽美な音色、導入は主題の旋律を優しく包み込むようにしっとりと歌い上げます。高鳴る感情を流麗なパッセージで描きながら進み、終焉は絢爛たる装飾で彩った主題を高らかと響かせ、甘美な余韻を残し曲を閉じます。

春の夜 S.568

白鳥の歌「わが宿」S.560-3

白鳥の歌「セレナーデ」S.560-7

この曲は、シューベルトの歌曲「白鳥の歌」に収録されたもので、夜鳥が囀る森を舞台に愛を叫ぶ物語が描かれています。
波打つ重音の導入に続き、心に染みる哀愁の旋律が響き渡ります。この美しい音色はひとたび低音部に音域を移しますが、即座に元の音域に回帰します。再現時は高音部の装飾により木霊すように旋律を奏でます。

ミュラー歌曲集「さすらい」S.565-1

ミュラー歌曲集「水車屋と小川」S.565-2

• 2025年1月5日、記事内容を更新