うきうきピアノ楽譜.com

クラシック音楽をメインに楽譜・コンサート情報を提供しています!

リスト 超絶技巧練習曲の難易度・解説

リスト 超絶技巧練習曲 top_000

リスト 超絶技巧練習曲一覧

リストの大作「超絶技巧練習曲」は全12曲で構成されます。
この曲はリストが15歳の1826年に着手され、「48の練習曲」としてすべての調性を散りばめた曲集として創作されましたが、複数の改訂を重ね最終的に12曲に落ち着きました。
リストの華麗で煌びやかな音楽性が集約されており、それぞれの楽曲につけられた表題の情景が鮮明に描かれています。
演奏者にとって憧れの譜面ですが、各曲に最高難度の技巧が散りばめられたおり、演奏者にとっては苦行の楽譜となることが想定されます。



曲名 調性 作品番号 難易度
超絶技巧練習曲 第1番「前奏曲」 ハ長調 S.139-1 7(上級)
超絶技巧練習曲 第2番 イ短調 S.139-2 8(上級)
超絶技巧練習曲 第3番「風景」 ヘ短調 S.139-3 6(中級)
超絶技巧練習曲 第4番「マゼッパ」 ニ短調 S.139-4 9(上級)
超絶技巧練習曲 第5番「鬼火」 変ロ長調 S.139-5 9(上級)
超絶技巧練習曲 第6番「幻影」 ト短調 S.139-6 8(上級)
超絶技巧練習曲 第7番「英雄」 変ホ長調 S.139-7 9(上級)
超絶技巧練習曲 第8番「狩」 ハ短調 S.139-8 9(上級)
超絶技巧練習曲 第9番「回想」 変イ長調 S.139-9 8(上級)
超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調 S.139-10 9(上級)
超絶技巧練習曲 第11番「夕べの調べ」 変ニ長調 S.139-11 8(上級)
超絶技巧練習曲 第12番「雪かき」 変ロ長調 S.139-12 9(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

リスト 超絶技巧練習曲の難易度・解説

リストの超絶技巧練習曲はリストのピアノ作品の中でも極めて高い技術を求められ、ほとんどの楽曲が上級ランクに分類されています。
力強く豪快な表現が多く、急速で小刻みに動く動作、華麗さを演出する装飾音が多用されています。
通常ピアノ曲は2段構成で譜面が書かれますが、第4番「マゼッパ」などは譜面が3段構成になっており、この追加段の音を2本の腕で弾きこなす高度な技術が求められます。



超絶技巧練習曲第1番「前奏曲」

プレスト4/4拍子、
21小節で書かれた短い曲、煌びやかな16分音符の旋律が豪快に駆け回る練習曲です。
リストの偉大なエチュードの導入に相応しく、堂々とした楽曲です。

調性 ハ長調
拍子 4/4拍子
演奏時間 0:50~1:10
難易度 7(上級)

超絶技巧練習曲第2番

モルトヴィヴァーチェ、3/4拍子
スタッカートを多用しながら小刻みに鳴り響く妖艶な旋律、カプリッチョ風の特徴を持っており、パガニーニのヴァイオリン独奏を連想させる神秘的で奇想な曲に仕上がっています。

調性 イ短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 2:00~2:50
難易度 8(上級)

超絶技巧練習曲第3番「風景」

ポコ・アダージョ、6/8拍子
前曲までの派手な技巧は抑え、情感溢れる旋律が優しく響き渡ります。
牧歌的で、田園風景を連想させる情景描写を見事に映し出しています。

調性 ヘ短調
拍子 6/8拍子
演奏時間 4:10~5:20
難易度 6(中級)

超絶技巧練習曲第4番「マゼッパ」

アレグロ、4/4拍子
ヴィクトル・ユゴーの「東方詩集 マゼッパ」から着想を得て生まれた作品と言われています。
短いカデンツァによる導入を経て、勇ましい野生馬が押し寄せるような激烈な曲想が展開されます。
この華々しく豪快な楽曲は、3段の譜面という異例の構成で書かれており、極めて難度の高い作品となっています。

調性 ニ短調
拍子 4/4拍子
演奏時間 7:20~8:50
難易度 9(上級)

超絶技巧練習曲第5番「鬼火」

アレグレット、2/4拍子
半音階で進行する軽やかなパッセージ、霊感のこもった不気味な旋律が途切れることなく響き渡ります。
高速のパッセージに加えて、度重なる跳躍、素早く交替する重音の処理には極めて高い技術を要します。

調性 変ロ長調
拍子 2/4拍子
演奏時間 4:00~4:40
難易度 9(上級)

超絶技巧練習曲第6番「幻影」

レント、3/4拍子
序奏は迫力ある重音が、分散和音の伴奏と共にゆっくりと歩み寄ります。
重音は分散和音に変わり、緊迫感の増した主題が演出されます。
曲全体に64分音符、または32分音符の分散和音が散りばめられており、力強く壮大な楽曲に仕上がっています。

調性 ト短調
拍子 3/4拍子
演奏時間 4:50~6:20
難易度 8(上級)



超絶技巧練習曲第7番「英雄」

アレグロ、4/4拍子
火花を散らすような強烈な序奏に続いて行進曲風の主題展開されます。
後半部は特に華麗な豪勢な楽想が見られ、オクターブ進行が目立ちます。
印象的な序奏は「ロッシーニとボンティーニの主題による華麗な変奏曲」から引用されています。

調性 変ホ長調
拍子 4/4拍子
演奏時間 4:50~5:40
難易度 9(上級)

超絶技巧練習曲第8番「狩」

プレスト・フリオーソ、6/8拍子
荒々しく激情的な導入、野性的で獰猛な迫力を備えた主題が続きます。中間部は大自然を表現するような壮大な風景が現れ、終局は華々しいコーダで曲を締めくくります。
スタッカートの表現が多く用いられ、一音一音の強烈で明確な響きが印象的です。

調性 ハ短調
拍子 6/8拍子
演奏時間 5:00~6:30
難易度 9(上級)

超絶技巧練習曲第9番「回想」

アンダンティーノ、6/4拍子、
甘くノスタルジックな曲想、リストの「愛の夢」を彷彿させるような主部、この主部は伴奏を変えながら反復、後半部ドラマティックな盛り上がりを見せ、最後は幻想的なコーダで優しく曲を閉じます。
作曲家ブゾーニはこの曲はまるで「黄色く変色したラブレターの束」のようであると言葉を残しています。

調性 変イ長調
拍子 6/4拍子
演奏時間 9:00~11:00
難易度 8(上級)

超絶技巧練習曲第10番

アレグロ・アジタート・モルト、2/4拍子
吹き荒れる吹雪のような冷たい旋律、焦燥に満ちた2つの主題が使い分けられ、時折響く高音部の上昇はまるで叫びのような印象を受けます。焦燥感は終始衰えることなく、後半部にドラマチックな盛り上がりを見せます。

調性 ヘ短調
拍子 2/4拍子
演奏時間 4:50~5:30
難易度 9(上級)

超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」

アンダンティーノ、4/4拍子
穏やかで包容力のある楽想、曲全体が詩的でロマンティックな情感に満ち溢れています。

調性 変ニ長調
拍子 4/4拍子
演奏時間 9:00~10:40
難易度 8(上級)

超絶技巧練習曲第12番「雪かき」

アンダンテ・コンモート、6/8拍子
静かに鳴り響く序章は、静かな雪景色を想像させますが、この世界観は瞬く間に一変、吹き荒れる吹雪の情景に移り変わります。
激しい旋律の中に暗くよどんだ心の憂いが感じられ、高速で昇り降りする半音階のパッセージは苦悩の叫びのようにも聞こえます。

調性 変ロ長調
拍子 6/8拍子
演奏時間 4:30~6:00
難易度 9(上級)
  • 2024年9月3日、記事内容を更新