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フランク「前奏曲、コラールとフーガ」「前奏曲、アリアと終曲」ピアノ曲の難易度・解説

フランク 前奏曲、コラールとフーガ top_001

フランク ピアノ曲一覧

弦楽またはオーケストラの楽曲が目立つセザール・フランクの作品の中で、異才を放つ2つのピアノ曲「前奏曲、コラールとフーガ」と「前奏曲、アリアと終曲」、この2曲はフランクが62歳~64歳の晩年に取り組んだピアノ曲で、彼のピアノ教師およびオルガニストとしての才能・個性を最も明瞭に体現した作品と言えます。
ピアノの特性を活かした前者と、オルガンの技巧が垣間見える後者の作品は、性格は異なりますが前奏曲から始まる3部構成という点など共通点もあり、2作品は姉妹的作品として取り上げられる傾向があります。



曲名 難易度
前奏曲、コラールとフーガ 8(上級)
前奏曲、アリアと終曲 8(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

フランク ピアノ曲の難易度・解説

セザール・フランクが晩年期に作曲した2つのピアノ曲、
ピアニスティックな性格を持つ「前奏曲、コラールとフーガ」と、オルガン的性格を色濃く打ち出した「前奏曲、アリアと終曲」、両者ともベテラン奏者向けの楽譜に分類されており、難易度は「8(上級)」に設定されています。

前奏曲、コラールとフーガ

  • 前奏曲:アルペジオの動きで奏でられる神秘的な主題(A)はロ短調で始まり、後に複数の転調と共に変化し繰り返し現れます。主題の間には沈鬱で悲痛な心を抱いた楽節(B)を挟み、曲全体としては「A-B-A’-B’-A”」の形式で進行します。
  • コラール:落ち着きある静穏なフレーズが奏され、時折差し込む鋭いアルペジオが厳粛な雰囲気を高めます。これらの2つの表情が交錯しながら霊妙な世界観を映し出します。
  • フーガ:4声で形作る壮大なフーガ、主題は多様な転調を繰り返し重厚感を高めながら進行、前述のコラール主題の変形を交えながら巧みに展開されます。



作曲年 1884年
調性 ロ短調(前奏曲)
ハ短調(コラール)
ロ短調(フーガ)
拍子 4/4拍子(前奏曲)
4/4拍子(コラール)
4/4拍子(フーガ)
演奏時間 4:50~5:50(前奏曲)
5:10~6:10(コラール)
7:00~8:50(フーガ)
難易度 8(上級)

前奏曲、アリアと終曲

  • 前奏曲:「A-B-A’-C-B’-A”-A」のロンド形式、Aの主題は優美で温かな情緒を持ち、曲全体で変形しながら繰り返されます。中盤に置かれるCの楽節には悲観の心情が込められ、終曲で見られる暴風的な情景を予見させる音型に発展します。 後続は楽節(B)、楽節(A)の変形を経て、原調(A)に落ち着き安堵の中、アリアに曲を受け渡します。
  • アリア:感慨深く澄み切った旋律が印象的、穏やかに奏される音色は後に3連符と16分音符を交え感情の高ぶりを見せますが、やがて幻想的な静けさを取り戻し、穏やかな余韻を残し曲を閉じます。
  • 終曲:忍び寄る不気味な低音の導入は重苦しく鬱然とした未来を想像させますが、徐々に膨らむ高揚の先には喜悦に満ちた力強い情感が見られます。曲は荒れ狂う暴風的な動きが大半を占めますが、後半部にはアリアの主題を元にした楽想が添えられ、最後は沈静化した穏やかなコーダで曲を閉じます。



作曲年 1886年~1887年
調性 ホ長調(前奏曲)
ホ長調(アリア)
嬰ハ短調(終曲)
拍子 4/4拍子(前奏曲)
2/2拍子(アリア)
4/4拍子(終曲)
演奏時間 8:30~9:00(前奏曲)
5:30~6:30(アリア)
6:20~7:10(終曲)
難易度 8(上級)
  • 2025年5月11日、記事内容を更新