ショパンのプレリュード(前奏曲)難易度・解説
プレリュード(前奏曲) 第1番 Op.28-1
プレリュード(前奏曲) 第2番 Op.28-2
プレリュード(前奏曲) 第3番 Op.28-3
プレリュード(前奏曲) 第4番 Op.28-4
プレリュード(前奏曲) 第5番 Op.28-5
プレリュード(前奏曲) 第6番 Op.28-6
プレリュード(前奏曲) 第7番 Op.28-7
プレリュード(前奏曲) 第8番 Op.28-8
プレリュード(前奏曲) 第9番 Op.28-9
プレリュード(前奏曲) 第10番 Op.28-10
プレリュード(前奏曲) 第11番 Op.28-11
プレリュード(前奏曲) 第12番 Op.28-12
プレリュード(前奏曲) 第13番 Op.28-13
プレリュード(前奏曲) 第14番 Op.28-14
プレリュード(前奏曲) 第15番 Op.28-15「雨だれ」
プレリュード(前奏曲) 第16番 Op.28-16
プレリュード(前奏曲) 第17番 Op.28-17
プレリュード(前奏曲) 第18番 Op.28-18
プレリュード(前奏曲) 第19番 Op.28-19
プレリュード(前奏曲) 第20番 Op.28-20
プレリュード(前奏曲) 第21番 Op.28-21
プレリュード(前奏曲) 第22番 Op.28-22
プレリュード(前奏曲) 第23番 Op.28-23
プレリュード(前奏曲) 第24番 Op.28-24
ショパンのプレリュード(前奏曲)一覧
ショパンの前奏曲は全24曲存在します。
全24の長調・短調が散りばめられ、5度ずつ上がっていく形で構成されています。
作曲を手掛けた1836~1839年は、ショパンがジョルジュサンドと恋に落ち、スペインのマジョルカ島に旅をした時期(1838年)と重なります。
ショパンの恋と、自身の病への不安が交錯する苦しい期間であり、曲の中にはショパンの不安を表す情景が描かれています。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
プレリュード(前奏曲) 第1番 | ハ長調 | Op.28-1 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第2番 | イ短調 | Op.28-2 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第3番 | ト長調 | Op.28-3 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第4番 | ホ短調 | Op.28-4 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第5番 | ニ長調 | Op.28-5 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第6番 | ロ短調 | Op.28-6 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第7番 | イ長調 | Op.28-7 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第8番 | 嬰ヘ短調 | Op.28-8 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第9番 | ホ長調 | Op.28-9 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第10番 | 嬰ハ短調 | Op.28-10 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第11番 | ロ長調 | Op.28-11 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第12番 | 嬰ト短調 | Op.28-12 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第13番 | 嬰ヘ長調 | Op.28-13 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第14番 | 変ホ短調 | Op.28-14 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第15番「雨だれ」 | 変ニ長調 | Op.28-15 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第16番 | 変ロ短調 | Op.28-16 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第17番 | 変イ長調 | Op.28-17 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第18番 | ヘ短調 | Op.28-18 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第19番 | 変ホ長調 | Op.28-19 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第20番 | ハ短調 | Op.28-20 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第21番 | 変ロ長調 | Op.28-21 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第22番 | ト短調 | Op.28-22 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲) 第23番 | ヘ長調 | Op.28-23 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲) 第24番 | ニ短調 | Op.28-24 | 9(上級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ショパンのプレリュード(前奏曲)難易度・解説
ショパンの前奏曲は、演奏時間が短く小さくまとまった曲が多いですが、
難易度は中級から上級まで幅広く、全体を通して演奏する場合は高い技術力が求められます。
最も人気のある第15番「雨だれ」は「5(中級)」ランクに属しています。
運指自体はそれほど難しくありませんが、主部と中間部の対照的な表現のバランスが重要です。音に感情を込めて謳うように演奏をしてみて下さい。
そして最も難解である第24番は、激しい伴奏と高音部に走る急速な運指、フォルテッシモによる激烈な表現力が求められ、全24曲中最難関の「9(上級)」ランクの技術を必要とします。
プレリュード(前奏曲)第1番 Op.28-1
2/8拍子、アジタートで上昇する分散和音の反復はバッハの作品を連想させます。
8小節ごとに区切られる美しい旋律が、旅の始まりを想わせる悦びと期待感を想像させます。
調性 | ハ長調 |
---|---|
拍子 | 2/8拍子 |
演奏時間 | 0:30~0:45 |
難易度 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲)第2番 Op.28-2
イ短調で始まるこの曲は2/2拍子、レントの速度で、重々しい和音の上で短いメロディが繰り返されます。
緩やかに動く暗い情感を込めた旋律が印象的、転調により3度反復され、絶望的な余韻を残し曲を閉じます。
調性 | イ短調 |
---|---|
拍子 | 2/2拍子 |
演奏時間 | 2:00~2:20 |
難易度 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲)第3番 Op.28-3
ヴィヴァーチェ 4/4拍子の構成、颯爽に動く左手の伴奏の上に重ねられる淡い旋律が印象的、短い曲の割に難易度が高く、練習曲の要素を強く感じさせる曲である。
調性 | ト長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 0:50~1:00 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第4番 Op.28-4
右手による静かで優美な旋律。そしてショパンの心にゆっくり忍び寄る不安な感情が、8分音符の和音で表現されます。
美しく、どこか憂いを秘めた曲調が印象的です。
調性 | ホ短調 |
---|---|
拍子 | 2/2拍子 |
演奏時間 | 1:50~2:10 |
難易度 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲)第5番 Op.28-5
前曲の第4番とは対照的で華麗な曲、リズミカルで練習曲的な特徴を持っています。
左手が躓かないよう、注意して弾きましょう。
調性 | ニ長調 |
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拍子 | 3/8拍子 |
演奏時間 | 0:30~0:40 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第6番 Op.28-6
アッサイ・レント、3/4拍子、
ソットヴォーチェで歌われる曲調には、ゆっくりと忍び寄るショパンの不安な感情が込められている。
最後は陰鬱な雰囲気を残し、果てるようなピアニッシモで曲を閉じます。
調性 | ロ短調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 1:50~2:10 |
難易度 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲)第7番 Op.28-7
わずか17小節からなる2部形式の曲、マズルカ風の音楽でどこか愛らしさと安らぎを連想させます。
太田胃散のCMでも用いられ、多くの人に馴染みのある曲です。
調性 | イ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 0:40~1:00 |
難易度 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲)第8番 Op.28-8
調性 | 嬰ヘ短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 1:40~2:00 |
難易度 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲)第9番 Op.28-9
ラルゴ、4/4拍子、
三連符の伴奏を上下の両声部ではさみ演奏される楽句を3度繰り返し演奏されます。
12小節という短くコンパクトな構成で書かれた前奏曲です。
調性 | ホ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 1:10~1:30 |
難易度 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲)第10番 Op.28-10
18小節で書かれた即興的な曲、
急速な下行音に続く4分音符の上行が4回繰り返されます。
繰り返しは、嬰ハ短調、嬰ト短調、嬰ヘ短調と調に変化をつけながら反復されています。
調性 | 嬰ハ短調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 0:30~0:40 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第11番 Op.28-11
ヴィヴァーチェ、6/8拍子で奏でられる軽快で清冽な曲、
2小節の序章の後、短い楽句の反復とコーダにより構成されます。
調性 | ロ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 0:30~0:40 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第12番 Op.28-12
プレスト3/4拍子、右手が半音階的に上下する練習曲のような曲です。
最初の8小節の楽句を基調にとして、様々な変化を加えて反復されます。
終曲に向けて徐々に高まる気迫の中に、ショパンの情熱を感じます。
調性 | 嬰ト短調 |
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拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 1:00~1:20 |
難易度 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲)第13番 Op.28-13
レント、6/4拍子、左手の分散和音にのって、滑らかなノクターン風な旋律が奏でられます。
静寂の中に響く優美な音色は、どこか「雨だれ」の曲調を連想させます。
調性 | 嬰ヘ長調 |
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拍子 | 6/4拍子 |
演奏時間 | 2:50~3:40 |
難易度 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲)第14番 Op.28-14
アレグロ、2/2拍子、ユニゾンで奏でる三連符4つからなる小節の繰り返し、ショパンの中に過る病に対する不安を即興に記したような曲です。雨だれの中間部に繋がる、不穏な感情の序章とも言えます。
調性 | 変ホ短調 |
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拍子 | 2/2拍子 |
演奏時間 | 0:30~0:40 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第15番 Op.28-15「雨だれ」
ショパンの前奏曲の中でも、最も有名な「雨だれ」、
主部は変イ長調にて、心に染み渡る牧歌的な旋律から始まります。、
中間部は嬰ハ短調にて、劇的で暗然たる世界へ移り変わります。右手で奏でられる8分音符のリズムはまるでショパンの心に忍び寄る、不安の足音を表現するかのようです。
最後は主部の短縮により、のどかで美しい世界の情景が再現されます。
調性 | 変ニ長調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:30~6:00 |
難易度 | 5(中級) |
プレリュード(前奏曲)第16番 Op.28-16
プレスト・コン・フオーコ 2/2拍子
力強い導入部の後に、嵐のようなパッセージが繰り広げらます。
音階練習のような特徴を持ち、技巧的難易度が高い曲です。
調性 | 変ロ短調 |
---|---|
拍子 | 2/2拍子 |
演奏時間 | 0:55~1:15 |
難易度 | 8(上級) |
プレリュード(前奏曲)第17番 Op.28-17
アレグレット、8/6拍子、
軽快な和音の連打の上に、情緒溢れる旋律が流れます。
暖かみがあり、幸福感に満たされたような感情が湧き上がります。
主部の反復を経て最後は消えるようなピアニッシモで曲を閉じます。
調性 | 変イ長調 |
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拍子 | 8/6拍子 |
演奏時間 | 2:40~3:30 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第18番 Op.28-18
アレグロ・モルト 2/2拍子
急速なパッセージと強烈に響き渡る和音、激しくドラマティックな曲想の前奏曲です。
調性 | ヘ短調 |
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拍子 | 2/2拍子 |
演奏時間 | 0:45~1:00 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第19番 Op.28-19
ヴィヴォーチェ、3/4拍子、
3連符8分で跳躍する軽快な曲調、優雅で明るい旋律は中間部も続き、再現部を経て清々しいコーダで曲を締めくくります。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 1:00~1:20 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第20番 Op.28-20
ラルゴ、4/4拍子、
最初の1小節の基調を反復し構成された曲、
葬送行進曲を彷彿させるような、ゆったりとした進行と重厚感ある音で表現されます。
ラフマニノフはこの曲を主題とした変奏曲を手掛けています。
調性 | ハ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 1:30~1:50 |
難易度 | 4(中級) |
プレリュード(前奏曲)第21番 Op.28-21
カンタービレ、3/4拍子、
冒頭から甘美な旋律が歌われる、中間部では新たにうるわしい旋律が加わり、やや不明瞭であるが主部を再現して曲を閉じます。夜想曲風の情景を印象を持ち、どこか前奏曲第13番を連想させます。
調性 | 変ロ長調 |
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拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 1:40~2:00 |
難易度 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲)第22番 Op.28-22
モルト・アジタート、6/8拍子、
左手8度の平行によって奏でられる激しい左手の旋律、度々左手の強打音を繰り返し、主部の反復後に曲を終えます。激情的でカプリッチョの一面を持った前奏曲です。
調性 | ト短調 |
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拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 0:40~0:50 |
難易度 | 7(上級) |
プレリュード(前奏曲)第23番 Op.28-23
モデラート、4/4拍子、
美しく流麗な右手の16分音符、形を変え繰り返され、最後は音色の渦に飲み込まれるように一音を響かせます。
どこかアラベスクを想わせる音型が感じ取れます。
調性 | ヘ長調 |
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拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 0:40~0:55 |
難易度 | 6(中級) |
プレリュード(前奏曲)第24番 Op.28-24
アレグロ・アパッシオナート、6/8拍子で書かれた悲憤の感情が溢れ出すような激烈な曲。
強く鳴り響く低音部のリズム、荒れ狂うように突き抜ける高音部の旋律が調を変えながら反復されます。
最後は半音階で下降する音符の末端で、フォルティッシモにおける重音が鳴り響き、力尽きるように曲を閉じます。
前奏曲の中で最も難解な曲と言えます。
調性 | ニ短調 |
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拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 2:10~2:50 |
難易度 | 9(上級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新