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ショパン 「幻想曲」「子守歌」「舟歌」後期ピアノ作品の難易度・解説

ショパン 幻想曲・子守歌・舟歌 top_001

ショパン 後期作品集について

ショパンは練習曲集や前奏曲集など複数の楽曲を束ねた曲集を多く残していますが、
ショパンが30歳を超えた後期の作品には「子守歌」など単独で出版された傑作が存在します。
中でも「幻想曲」「舟歌」の楽曲は、ショパンらしい華麗で優美な旋律を備えながらも、大胆かつ長大な構成で描かれており、円熟味はもちろんのこと、長年積み上げてきたショパンの音楽性が凝縮された傑作と言えます。



曲名 調性 作品番号 難易度
幻想曲 ヘ短調 Op.49 8(上級)
子守歌 変ニ長調 Op.57 7(上級)
舟歌 ヘ長調 Op.60 8(上級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

ショパン 「幻想曲」「子守歌」「舟歌」の難易度・解説

ショパンの後期ピアノ作品は、前期作品と比べても構成が充実しており、演奏技巧も多岐にわたるため上級者向けの楽曲に分類される傾向にあります。
後期作品の中でもとりわけ人気の高い「舟歌」は「8(上級)」の難易度に属しています。彩り溢れ緻密に施された装飾を処理しながら、この曲の見事な情景美をドラマティックに演奏するためには高度な技巧と心情表現が求められます。



幻想曲 Op.49

テンポ・ディ・マルチャ(グラーヴェ)、4/4拍子
葬送行進曲を思わせる荘重な序奏から始まり、抒情を帯びた主部に移行、穏やかな旋律は徐々に加速し華々しいパッセージを散りばめた情熱的な楽想に変化します。心休まる緩やかな中間部を経て、再現部で改めて熱い情熱を示し、最後は短いコーダで曲を締めくくります。
この曲は1841年にジョルジュサンドの家で作曲された記録が残っています。この曲にはジョルジュサンドとの衝突、そして仲直りまでの過程が描かれているという説があります。

作曲年 1841年
調性 ヘ短調
拍子 4/4拍子
演奏時間 12:00~14:30
難易度 8(上級)

子守歌 Op.57

アンダンテ、6/8拍子
半音階的な音色に鮮やかな装飾が散りばめられた旋律は、ゆったりとした伴奏の上で美しく鳴り響きます。左手のリズムは変化することなく最後まで繰り返されます。
詩的な雰囲気が漂うこの簡素な楽曲は、ショパンの弟子の練習曲として作曲されたと考えられています。

作曲年 1843年~1844年
調性 変ニ長調
拍子 6/8拍子
演奏時間 4:00~5:00
難易度 7(上級)

舟歌 Op.60

アレグレット、12/8拍子
本来、舟歌(バルカローレ)のリズムは船の動きを連想させる6/8拍子で書かれますが、ショパンはこのリズムを12/8拍子に引き伸ばし、曲の旋律線を長くすることで、メロディをより流暢に歌わせ劇的な広がりを表現しています。その効果を活かし、この舟歌は抒情的な陰影を漂わせながら、優美で煌びやかな3つの主題で構成されます。繰り返される転調の中、徐々に情熱的な感情が姿を現し、最後は解放的で希望に満ちたコーダでクライマックスを迎えます。

作曲年 1845年~1846年
調性 ヘ長調
拍子 12/8拍子
演奏時間 8:00~9:20
難易度 8(上級)
  • 2024年9月16日、記事内容を更新