ショパン バラード一覧
ショパンが作曲したバラードは全4曲、
作曲時期は1831年から1842年、ショパンがワルシャワ音楽院を卒業してウィーンでの活動を開始した時期に当たります。1831年のショパンは21歳、成人の時を経て「心情・表現力・技術力」それぞれが成熟を迎えた絶盛期の作品と言えます。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
バラード 第1番 | ト短調 | Op.23 | 8(上級) |
バラード 第2番 | ヘ長調 | Op.38 | 8(上級) |
バラード 第3番 | 変イ長調 | Op.47 | 8(上級) |
バラード 第4番 | ヘ短調 | Op.52 | 9(上級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ショパン バラードの難易度・解説
ショパンのバラードは4曲すべて小節数100を超え、演奏時間は7分以上を要する大曲となります。
難易度は「8~9(上級)」に属しており、ショパンのピアノ曲の中でも最上位に位置します。
バラード 第1番 Op.29
バラード第1番は1831年~1835年に作曲、シュトックハウゼン男爵に献呈、
ポーランドの詩人アダム・ミッキエヴィッチの「コンラード・ワーレンロット」の詩から着想された曲で、作曲家シューマンが、ショパン作品の中で最も愛した曲と語られています。
導入はラルゴで始まりレチタティーヴォ風の印象、煌びやかで美しい主題が形を変えて展開され、最後はフォルティッシモによる激情的なコーダが待ち受けます。
半音階で勢いよく下降する表現には、朽ち果てるような劇的な終焉が描写されます。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 6/4拍子 |
演奏時間 | 7:30~9:30 |
難易度 | 8(上級) |
バラード 第2番 Op.38
バラード第2番は1836年~1839年に作曲、ロベルトシューマンに献呈
他のバラードと異なる印象を持つバラード、導入はのどかで田園的な情景を連想させ、突然嵐のような激情的な世界へと移り変わります。
これらの二つの相反する描写は、アダム・ミッキエヴィッチの詩「ヴィリス湖」から生まれており、
その詩は「夜の美しい湖で踊る乙女達が一人の少年を深い湖の底に誘い込む」という物語を描いています。
調性 | ヘ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 6:40~7:40 |
難易度 | 8(上級) |
バラード 第3番 Op.47
バラード第3番は1840年~1841年に作曲、ショパンの弟子ポリーヌ・ドィ・ノアイユに献呈、
この曲はアダム・ミッキエヴィッチの詩「水の精」を元に書かれています。
「一人の娘と男が永遠の愛を誓った後、娘は男の心に疑いを持ち始める、娘は男の誠意を試すために美しい湖の精に姿を変え男を誘惑する。男は誘惑に負け娘への思いと共に魂を奪わてしまう」そんな物語から着想されたバラードです。曲は導入から優雅で美しい旋律が響き渡ります、第2主題では眠りを誘うような抒情的な情景を経て、この主題は中間部以降。様々な転調を経て表現されます。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 6:40~8:00 |
難易度 | 8(上級) |
バラード 第4番 Op.52
バラード第4番は1842年に作曲、ロートシルト男爵夫人に献呈、
アダム・ミッキエヴィッチの詩「ブードリスの三人の兄弟」から着想、
ロンド風でソナチネ形式と変奏曲形式、両面の特色を掛け合わせたような形式をとっています。
主題には静寂の中に響く抒情美と、コラール風な賛美の精神が感じ取れます。
曲の大部分は静謐なメロディで満たされており、最後は炎が燃え盛るような激情的なコーダを経て曲を閉じます。
調性 | ヘ短調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 9:20~12:00 |
難易度 | 9(上級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新