ブラームス 6つの小品 Op.118の難易度・解説
6つの小品 第1曲「間奏曲」Op.118-1
6つの小品 第2曲「間奏曲」Op.118-2
6つの小品 第3曲「バラード」Op.118-3
6つの小品 第4曲「間奏曲」Op.118-4
6つの小品 第5曲「ロマンス」Op.118-5
6つの小品 第6曲「間奏曲」Op.118-6
ブラームス 6つの小品 Op.118の楽曲一覧
「6つの小品 Op.118」はブラームスの晩年に当たる1893年に作曲、
間奏曲、バラード、ロマンスの表題がつけられており、それぞれが個性的な性格を持っています。
曲には「悲哀」「抒情」「情熱」と言った様々な感情表現が込められ、短く簡潔な楽曲にまとめられています。
この作品は1894年1月、女流ピアニスト「イローナ・アイベンシュッツ」にて6曲まとめて初演されています。
近年は作品全曲を通して演奏するより、それぞれの曲を抜粋して演奏される傾向が強く見られます。
曲名 | 調性 | 作品曲号 | 難易度 |
---|---|---|---|
6つの小品 第1曲「間奏曲」 | イ短調 | Op.118-1 | 7(上級) |
6つの小品 第2曲「間奏曲」 | イ長調 | Op.118-2 | 6(中級) |
6つの小品 第3曲「バラード」 | ト短調 | Op.118-3 | 7(上級) |
6つの小品 第4曲「間奏曲」 | ヘ短調 | Op.118-4 | 6(中級) |
6つの小品 第5曲「ロマンス」 | ヘ長調 | Op.118-5 | 6(中級) |
6つの小品 第6曲「間奏曲」 | 変ホ短調 | Op.118-6 | 7(上級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ブラームス 6つの小品 Op.118の難易度・解説
ブラームスの6つの小品 Op.118は中級者~上級者向けの楽曲として書かれています。
中でも人気の高い「間奏曲 Op.118-2」は「6(中級)」の難易度に分類されています。
主部で描かれる哀愁漂う世界観を映し出す表現力、中間部の高揚感を際立たせるための抑揚表現、細かな技巧よりも感情表現の使い分けが課題とされます。
6つの小品 第1曲「間奏曲」Op.118-1
アレグロ・ノン・アッサイ・マ・モルト・アパッショナート、2/2拍子
誇らしく鳴り響く伴奏が印象的、情熱的で自信に溢れた楽曲ですが、旋律の奥底にどこか侘しさを感じさせます。特に第1主題の反復後に現れる下降音階は、不安定な感情を匂わせます。
最後は低音域から高音域を往復し、フェルマータの和音にてゆったりと曲を閉じます。
調性 | イ短調 |
---|---|
拍子 | 2/2拍子 |
目安演奏時間 | 1:30~2:00 |
難易度 | 7(上級) |
6つの小品 第2曲「間奏曲」Op.118-2
アンダンテ・テネラメンテ、3/4拍子
穏やか哀愁漂う旋律、主部は美しく晴天広がる世界が開けます。
3連符の伴奏による中間部は、少し足早に進み、感情の高ぶりを見せますが、曲想の美しさは失わず慈愛に満ちた情感が溢れます。その後は一部の主題が形を変え展開し、静寂の中に溶け込むように終局に向かいます。
調性 | イ長調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
目安演奏時間 | 5:30~6:30 |
難易度 | 6(中級) |
6つの小品 第3曲「バラード」Op.118-3
アレグロ・エネルジコ、2/2拍子
スタッカートの和音で響く迫力のある主題、しかし中間部の世界は対照的で、滑らか伴奏に浮遊するようなピアニシモの旋律が溶け込みます。両者が持つ「情熱」と「静寂」の対比が印象的な作品です。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 2/2拍子 |
目安演奏時間 | 2:50~3:40 |
難易度 | 7(上級) |
6つの小品 第4曲「間奏曲」Op.118-4
アレグレット・ウン・ポコ・アジタート、2/4拍子
どこか物寂しさが感じられる旋律、中間部は静寂の中に鳴り響く緩やか音色、その様子は徐々に変貌し情熱的な旋律を響かせ、最後はふと力尽きるように曲を閉じます。
調性 | ヘ短調 |
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拍子 | 2/4拍子 |
目安演奏時間 | 2:20~3:10 |
難易度 | 6(中級) |
6つの小品 第5曲「ロマンス」Op.118-5
アンダンテ、6/4拍子
エスプレシーヴォの標記にて表情豊かに展開される主題、晴れわたる清々しい情景が連想されます。
中間部では、より滑らかで明快に音を鳴らし、装飾音とトリルにより軽快な音響効果をもたらしています。
終局はオクターブによる和音で厚み加え、温かな余韻を残し曲を締めくくります。
調性 | ヘ長調 |
---|---|
拍子 | 6/4拍子 |
目安演奏時間 | 3:40~4:50 |
難易度 | 6(中級) |
6つの小品 第6曲「間奏曲」Op.118-6
アンダンテ・ラルゴ・エ・メスト、3/8拍子
不気味に上り下りする伴奏に、冷たく気鬱な旋律が乗せられます。
中間部は勇ましさを持ち合わせ、希望の光をさすような展開が予測されますが、
結局は陰鬱な主部に覆われ、最後は悲しみの中、重い足取りで終局を迎えます。
この曲は、ブラームスの交響曲第5番の楽想の一部として構想されていたと言われています。
調性 | 変ホ短調 |
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拍子 | 3/8拍子 |
目安演奏時間 | 5:20~6:10 |
難易度 | 7(上級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新