ショパン ノクターン(夜想曲)の難易度・解説
ノクターン(夜想曲) 第1番 Op.9-1
ノクターン(夜想曲) 第2番 Op.9-2
ノクターン(夜想曲) 第3番 Op.9-3
ノクターン(夜想曲) 第4番 Op.15-1
ノクターン(夜想曲) 第5番 Op.15-2
ノクターン(夜想曲) 第6番 Op.15-3
ノクターン(夜想曲) 第7番 Op.27-1
ノクターン(夜想曲) 第8番 Op.27-2
ノクターン(夜想曲) 第9番 Op.32-1
ノクターン(夜想曲) 第10番 Op.32-2
ノクターン(夜想曲) 第11番 Op.37-1
ノクターン(夜想曲) 第12番 Op.37-2
ノクターン(夜想曲) 第13番 Op.48-1
ノクターン(夜想曲) 第14番 Op.48-2
ノクターン(夜想曲) 第15番 Op.55-1
ノクターン(夜想曲) 第16番 Op.55-2
ノクターン(夜想曲) 第17番 Op.62-1
ノクターン(夜想曲) 第18番 Op.62-2
ノクターン(夜想曲) 第19番 Op.72-1
ノクターン(夜想曲) 第20番 遺作
ノクターン(夜想曲) 第21番 遺作
ショパン ノクターン(夜想曲)一覧
ショパンのノクターンは全21曲。
1830~1849年のショパンが20~39歳の時期に作曲されています。
情感を大切に描かれる美しい旋律が特徴です。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
ノクターン(夜想曲) 第1番 | 変ロ短調 | Op.9-1 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第2番 | 変ホ長調 | Op.9-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第3番 | ロ長調 | Op.9-3 | 7(上級) |
ノクターン(夜想曲) 第4番 | ヘ長調 | Op.15-1 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第5番 | 嬰ヘ長調 | Op.15-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第6番 | ト短調 | Op.15-3 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第7番 | 嬰ハ短調 | Op.27-1 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第8番 | 変ニ長調 | Op.27-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第9番 | ロ長調 | Op.32-1 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第10番 | 変イ長調 | Op.32-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第11番 | ト短調 | Op.37-1 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第12番 | ト長調 | Op.37-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第13番 | ハ短調 | Op.48-1 | 7(上級) |
ノクターン(夜想曲) 第14番 | 嬰ヘ短調 | Op.48-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第15番 | ヘ短調 | Op.55-1 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第16番 | 変ホ長調 | Op.55-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第17番 | ロ長調 | Op.62-1 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第18番 | ホ長調 | Op.62-2 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第19番 | ホ短調 | Op.72-1 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第20番 | 嬰ハ短調 | 遺作 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲) 第21番 | ハ短調 | 遺作 | 5(中級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ショパン ノクターン(夜想曲)の難易度・解説
ショパンのノクターンの難易度は、ほとんどの曲が5~6(中級)ランクに属しており、
「第3番 Op.9-3」「第13番 Op.48-1」の2曲のみ7(上級)として扱われます。
大曲として知られるこの2曲は、物静かな呈示部と劇的に豹変する中間部、それぞれの対照的な情感を映し出す表現力が求められます。
ノクターン(夜想曲)第1番 Op.9-1
ラルゲット、6/4拍子、3部形式で構成、一見冷たく寂し気な導入、夜の静寂と安らぎの心情を素直に表現した作品となっています。
ノクターンの先駆者フィールドの作品を連想させる表現が見え隠れします。
調性 | 変ロ短調 |
---|---|
拍子 | 6/4拍子 |
演奏時間 | 4:50~5:50 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第2番 Op.9-2
ショパンのノクターンの中で最も有名な曲と言っても良いでしょう。
鮮やかで心が晴れるような美しい旋律が特徴、
ロンド風形式、アンダンテ 12/8拍子で構成されます。
この曲は1830~1831年に作曲され、ピアノ製造業者でありショパンの友人マリー・プレイエルの妻に捧げられた作品です。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
拍子 | 12/8拍子 |
演奏時間 | 4:00~4:50 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第3番 Op.9-3
典型的なサロン音楽、アレグレットの付点リズムによる6/8拍子、3部形式で構成されます。
優雅で甘美な旋律から始まりその甘い表情は続きますが、中間部はロ短調に移り変わり、劇的で険しい表情を見せます。主部の再現後は美しく煌びやかなコーダで幕を閉じます。
調性 | ロ長調 |
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拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 5:40~7:10 |
難易度 | 7(上級) |
ノクターン(夜想曲)第4番 Op.15-1
1830~1831年に作曲された夜想曲、ピアニストのフェルディナンド・ヒラーのために作られた曲です。
3部形式、アンダンテ・カンタービレ、4/3拍子で構成され、美しく流麗な旋律から始まり、中間部は激情的で嵐のような曲調に変化します。
対照的な二つの場面をメリハリ付けて演奏してみましょう。
調性 | ヘ長調 |
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拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 4:00~5:00 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第5番 Op.15-2
ノクターンの中で最も美しく甘美な曲と言っても過言ではない。それだけ情緒溢れる感性が旋律の中に込められています。
ラルゲット、2/4拍子、3部形式の構成で書かれており、
主旋律の装飾音は単なる装飾ではなくて旋律の中に包含して音色に深みを与えています。
中間部は独創的なドッピオ・モヴィメント、まるで心の奥底に潜む不安を掻き立てるように豹変するテンポ、後に第一部が回想し、長大なコーダで曲を締めくくります。
調性 | 嬰ヘ長調 |
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拍子 | 2/4拍子 |
演奏時間 | 3:10~4:00 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第6番 Op.15-3
1833年に作曲された夜想曲、レント、3/4拍子、2部形式で書かれています。
第一部の悲しみに溢れた、仄暗い光景が目に浮かびます。
第二部に入ると曲調は明るく転調し、心が解放されたような安心感に満たされます。
第一部の悲哀の情景は再現することなく、小さな希望の光を見出しながら曲を閉じます。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子 |
演奏時間 | 3:50~5:00 |
難易度 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲)第7番 Op.27-1
ラルゲット、4/4拍子、3部形式の構成
第一部は、八分音符六連音の伴奏で暗く切ない旋律が続き、
中間部は、ベートーヴェンの面影を感じさせる迫力ある情熱的な心情が展開されます。
そして、一時の力強い感情は朽ち果て、第一部の静かな主題が繰り返されます。
調性 | 嬰ハ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:30 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第8番 Op.27-2
この曲はショパンのノクターンの中で、最も甘美で官能的な曲と言っても過言ではない。
レントソステヌート、6/8拍子、美しいロンド風形式で構成されます。
曲の主題は装飾を変化させて繰り返され、装飾音は三度、六度の音程が頻繁に出現、極めて複雑な形をとっています。情緒深い歌うような旋律には高い表現力が求められ、技巧的にも上級者向けの作品と言えます。
調性 | 変ニ長調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 5:20~6:50 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第9番 Op.32-1
ノクターンの中ではあまり注目される曲ではありませんが、
曲調はあたたかく情緒に溢れています。夢見心地の穏やかな気分で曲に陶酔することでしょう。
この曲はアンダンテソステヌート 4/4拍子で始まり、
「A⇒B⇒A⇒C⇒B⇒C⇒コーダ」という不規則な構成で書かれています。
調性 | ロ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:00~5:40 |
難易度 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲)第10番 Op.32-2
Op.32-1と共にドゥ・ピリング男爵夫人に献呈された作品。
レント、4/4拍子の3部形式で構成、主題の旋律は美しく、喜びの感情に溢れているとも言えます。
しかし中間部は気分が一転し短調の激しい曲想に変化、劇的な感情は突然収まり主題の反復の末、ゆっくりと曲を閉じます。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:40 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第11番 Op.37-1
切なく緩やかに進む旋律、曲調から郷愁の念を思わせます。
アンダンテ 4/4拍子 3部形式、中間部は変ホ長調でコラール風に描かれ、再度主題の郷愁の心を歌い上げます。
調性 | ト短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:00~7:10 |
難易度 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲)第12番 Op.37-2
この曲はショパンがマジョルカ島に渡る途中で着想され、旅の想い出を込めて作曲されたと言われています。
上下に揺れ動く低音部の伴奏は進行する船の動き表現し、旋律で奏でられる半音階の音色は陽が差し込んだ洋上の輝きを想わせます。
バルカロール風な印象を持ち、アンダンティーノ 6/8拍子、「A⇒B⇒A⇒B⇒A⇒コーダ」の形式で構成されます。
調性 | ト長調 |
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拍子 | 6/8拍子 |
演奏時間 | 5:20~7:10 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第13番 Op.48-1
Op.48は2曲ともにショパンの愛弟子ローラ・デュペレに献呈。
この曲はショパンの円熟期の傑作であり、ノクターンの中でも最もスケールが大きく堂々と格調高い曲想で描かれています。
レント、4/4拍子、3部形式、静寂の中に鳴り響く切ない旋律が続いた後、中間部はズシリとのしかかる和音が展開され、後に雷鳴のごとく劇的な情感が現れます。
まるで短い音楽劇を連想させる作品に仕上がっています。
調性 | ハ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:10~6:30 |
難易度 | 7(上級) |
ノクターン(夜想曲)第14番 Op.48-2
アンダンティーノ、4/4拍子、3部形式で構成。
主部はバラード風の様式を感じさせ、2度繰り返される。
後に主部とは性格の異なる自由中間部の曲想が展開され、主部の切ない情感が再現されます。
Op.48-1のような劇的な変化はありませんが、ノクターンの中ではスケールの大きな作品と言えます。
調性 | 嬰ヘ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:30~7:40 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第15番 Op.55-1
アンダンテ、4/4拍子、3部形式で構成、
主部は陰鬱で感傷的な旋律がゆっくりと歩み始める、中間部は行進曲風で激情的な一面を見せます。
対位法が印象的で晩年のショパンの洗練された作風が伺える作品です。
調性 | ヘ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:40 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第16番 Op.55-2
レント・ソステヌート、12/8拍子、即興曲風で自由な形式で構成され、対位法的な処理も施されています。
冷たく心に響くような曲調、内声部には希望に満たされたような美しい旋律が現れます。
型にはまらない構成、静謐な音色、全体が洗練されておりショパン晩年の作風が表現されています。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
拍子 | 12/8拍子 |
演奏時間 | 4:00~5:40 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第17番 Op.62-1
Op.62の2曲は1846年に作曲、弟子のR・ド・ケンネリッツに献呈。
この曲は晩年ショパンが孤独・病と闘いながら筆を進めた、生前最後のノクターンと言われています。
アンダンテ 4/4拍子 3部形式、
短い序奏から始まり、心にしみる旋律がしっとりと響き渡ります。
長調の中間部の後に再現される旋律には煌びやかな装飾が施されています。
抒情的でありながら、暖かさに満ちた作品です。
調性 | ロ長調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:50~8:10 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第18番 Op.62-2
レント 4/4拍子 3部形式の変形で構成、
洗練された和声と甘美な旋律が鳴り響き、穏やかで魅惑的な夜の情景を想わせます。
中間部は一変、激しく焦燥感に駆られたような心情が動き出します。
再現部にて冷静さを取り戻し、趣のある音色と共に静かに曲を閉じます。
調性 | ホ長調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 5:20~7:20 |
難易度 | 6(中級) |
ノクターン(夜想曲)第19番 Op.72-1
この曲は1827年ショパンが17歳の時の作品、ちょうどワルシャワ中学校を卒業した時期に作曲されています。
3部形式で構成され、アンダンテ、4/4拍子で切なく抒情的な旋律が響き渡ります。この曲は生前に発表されず、ショパン没後6年過ぎた1855年に出版されています。
調性 | ホ短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 3:20~4:30 |
難易度 | 5(中級) |
ノクターン(夜想曲)第20番 遺作
映画「戦場のピアニスト」の冒頭で流れる曲として有名です。
切なく悲愴的な曲想、4小節の序章に続いて、左手の和弦的な伴奏に乗って美しく抒情的なメロディが流れます。
この曲を聴いていると、暗闇の中に散りばめられた星の輝き、そして夜の静けさを想わせる、いかにも夜想曲らしい印象を与えますが、
実はこの曲は、もともと「夜想曲(ノクターン)」の題名では出版されていません。
発見時「アダージョ」という題名で残された楽譜でしたが、1875年の出版時には曲想からよりふさわしい「夜想曲(ノクターン)」という題名に差し替えられた経緯があります。
調性 | 嬰ハ短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 3:30~4:30 |
難易度 | 5(中級) |
楽譜LINK | 無料楽譜 (Chopin Nocturne No.20 posth) |
ノクターン(夜想曲)第21番 遺作
この曲は1827年作曲されているが、作風から初期の作品という説もある。
アンダンテ・ソステヌート 4/4拍子 3部形式、短くシンプルな構成、どこか切なく心に迷いを抱えた詩人を思わせる旋律が鳴り響きます。
調性 | ハ短調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 2:20~3:40 |
難易度 | 5(中級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新