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ドビュッシー ピアノ小品「喜びの島・夢・仮面・他」の難易度・解説

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ドビュッシー ピアノ小品一覧

「ベルガマスク組曲」「版画」「ピアノのために」など、ドビュッシーの曲集は広く知られていますが、単独で出版されたピアノ小品も演奏者や愛好家にとって注目される存在となっています。独立曲ゆえ、曲集が織りなす物語性という点ではどうしても引けを取りますが、楽曲の中には精緻な象徴的描写と、深みある情景美が巧みに表現されています。中でも「喜びの島」はもともと「ベルガマスク組曲」の曲集に組み込む想定で作曲されていたもので、技巧面・情景描写においても緻密かつ精巧に書かれ大規模な作品に仕上げられています。

曲名 難易度
夢(夢想) 5(中級)
仮面(マスク) 7(上級)
喜びの島 8(上級)
レントより遅く 6(中級)
ロマンティックなワルツ 6(中級)

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

ドビュッシー ピアノ小品の難易度・解説

ドビュッシーが独立曲として出版したピアノ曲は数多くありますが、題材は多様性に富み、演奏の難易度も多岐に渡ります。穏やかで幻想感漂う「夢(夢想)」の難易度は「5(中級)」、多彩的な楽想とシンフォニックな音色を持つ「喜びの島」の難易度は「8(上級)」に分類されています。



夢(夢想)

浮き沈みする伴奏の上に、柔らかく温和な旋律が鳴り響きます。中盤は旋回的な音型を加え、幻想的な雰囲気を高めます。ぼんやりと霧がかった世界観と心地よい浮遊感は、聴き手をまどろみの中に誘い込みます。

作曲年 1890年
調性 ヘ長調
拍子 4/4拍子
演奏時間 3:30~4:30
難易度 5(中級)

仮面(マスク)

冒頭を始め、所々に仄暗く沈んだ雰囲気が漂います。男女が仮面をつけて踊る妖艶な舞が繰り広げられます。後半、連なるクレッシェンドと共に踊りは最高潮を迎えます。その後は静かに衰退し、沈み込むように曲を閉じます。

作曲年 1904年
拍子 6/8拍子
演奏時間 4:30~5:30
難易度 7(上級)

喜びの島

「喜びの島」は、ルーブル美術館が所蔵するジャン・アントワーヌ・ヴァトーの名画「シテール島への船出」から曲想を得られたと考えられています。
静かなトリルの響きから始まり、右手の繊細な音色と左手の独特な伴奏が交錯します。幻想的な旋律は変幻自在に姿を変え、管弦楽を想わせるシンフォニックな響きを展開します。規模が大きく、各部のコントラストを活かす色彩鮮やかな構成で書かれています。

作曲年 1904年
拍子 4/4拍子
演奏時間 5:30~6:30
難易度 8(上級)

レントより遅く

浮遊感のあるゆったりとしたワルツで始まり、楽節毎に色とりどりの表情を見せます。
「滑らかで落ち着きのある旋律」「気持ち高ぶる上昇音型の旋律」「オクターブによる激情的な旋律」と多彩な旋律が散りばめられ、終始優美な世界観を描きます。
この楽曲は旋律の美しさから、管弦楽用にも編曲され幅広いスタイルで演出されています。

作曲年 1910年
拍子 3/4拍子
演奏時間 4:00~6:00
難易度 6(中級)

ロマンティックなワルツ

哀愁を秘めた旋律は、幅広い音域を駆け巡るアルペジオと3連符で加速しながら情感を強め、激しく高揚します。この高鳴りは助走をもって再度現れ、最後はクレッシェンドで駆け上がる上行音型が、連なるフォルティッシモに音色を繋ぎ、力強い和音で曲を締めくくります。
ドビュッシーの作品でこれほどまで劇的で情熱を込めた曲は類を見ない。作曲者の真偽を疑いたくもなるが、この曲はショパンに魅せられたドビュッシーが青年時代に手掛けたもので、円熟前の試作的な作品とも言える。

作曲年 1890年
拍子 3/4拍子
演奏時間 3:20~4:20
難易度 6(中級)
  • 2024年1月9日、記事内容を更新