バッハ イギリス組曲の楽曲一覧
バッハ イギリス組曲の難易度・解説
イギリス組曲 第1番 BWV.806
イギリス組曲 第2番 BWV.807
イギリス組曲 第3番 BWV.808
イギリス組曲 第4番 BWV.809
イギリス組曲 第5番 BWV.810
イギリス組曲 第6番 BWV.811
バッハ イギリス組曲の難易度・解説
イギリス組曲 第1番 BWV.806
イギリス組曲 第2番 BWV.807
イギリス組曲 第3番 BWV.808
イギリス組曲 第4番 BWV.809
イギリス組曲 第5番 BWV.810
イギリス組曲 第6番 BWV.811
バッハ イギリス組曲の楽曲一覧
バッハが作曲した「イギリス組曲」は全6曲で構成されます。
同じ組曲として比較される「フランス組曲」よりも規模が大きく、各楽章で施される書法も豊富、特にプレリュードに関しては長大な構成で書かれるケースが多く、全体の厳粛さ優雅さという点では特筆すべき魅力を備えています。フランス組曲を「小組曲」、イギリス組曲を「大組曲」と喩える評論も存在し、スケール面における比較を考えた場合、多くの点でイギリス組曲が充実していると見られる傾向があります。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
イギリス組曲 第1番 | イ長調 | BWV.806 | 7(上級) |
イギリス組曲 第2番 | イ短調 | BWV.807 | 7(上級) |
イギリス組曲 第3番 | ト短調 | BWV.808 | 7(上級) |
イギリス組曲 第4番 | ヘ長調 | BWV.809 | 6(中級) |
イギリス組曲 第5番 | ホ短調 | BWV.810 | 7(上級) |
イギリス組曲 第6番 | ニ短調 | BWV.811 | 7(上級) |
※1:難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
バッハ イギリス組曲の難易度・解説
バッハ作曲のイギリス組曲は熟練者向けの楽曲として扱われ、演奏難易度は第4番が「6(中級)」、第1番、第2番、第3番、第5番、第6番は「7(上級)」のランクに分類されています。
イギリス組曲 第1番 BWV.806
- プレリュード:16分音符で形作られたトッカータ風の序曲から始まる、主題を元にストレッタ風な対位法が展開されます。
- アルマンド:落ち着きと優雅さを持ち合わせた曲、装飾音が目立ち、各フレーズに煌びやかなアクセントを与えています。
- クーラント:第1クーラントと第2クーラントが用意されている。両者とも優雅な雰囲気で歌われる。※クーラントのひとつは省略されることもあります
- サラバンド:格調高く、厳かな響きが印象的、ここで用いられる旋律はクリスマスオルトリオの子守歌にも転用されています。
- ブーレ:冒頭は軽快に勢いよく奏され、典雅な音色が繰り広げられます。第1ブーレと第2ブーレがあり両者とも2声の模倣対位法で書かれています。
- ジーグ:極めて明るく勢いのある音色が特徴、基本主題に対する転回型が後半部に置かれる定石通りのジーグで書かれています。
調性 | イ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/4拍子(サラバンド) 2/2拍子(ブーレ) 6/8拍子(ジーグ) |
難易度 | 7(上級) |
イギリス組曲 第2番 BWV.807
- プレリュード:典雅に響く16分音符の音型が絶え間なく続きます。
- アルマンド:落ち着きがあり、やや瞑想的な雰囲気が感じられる。
- クーラント:速度を上げ明朗快活な音色を奏します。装飾音が多用しながら対位法的に進行します。
- サラバンド:沈鬱な面持ちでゆっくりと鳴り響く旋律、上声部は装飾により微かな輝きを見せます。
- ブーレ:切なく哀愁を秘めた踊りを繰り広げる第1ブーレと、明るくひと時の安息をもたらす第2ブーレで構成されます。
- ジーグ:フーガの手法をとらずに書かれた、他曲とは性格の異なるジーグ
調性 | イ短調 |
---|---|
拍子 | 3/4拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/4拍子(サラバンド) 2/2拍子(ブーレ) 3/8拍子(ジーグ) |
難易度 | 7(上級) |
イギリス組曲 第3番 BWV.808
- プレリュード:高潔な雰囲気を醸し出す旋律、副楽節を挟みながら主楽節の反復、極めて長大な前奏曲に仕上げられています。
- アルマンド:ゆっくり歩み寄る感傷的な旋律が特徴、短く簡潔な2部構成でまとめられています。
- クーラント:緊迫感を持ちながら進行する主題、音色の奥に何とも言い難い悲哀の念を滲ませます。
- サラバンド:沈み込んだ荘厳な音色が特徴、変奏を用いながらゆっくりと進行します。
- ガヴォット:少し茶目っ気を持った軽快な第1ガヴォットと、田園風景を想わせる第2のガヴォットで構成されます。
- ジーグ:激しく疾走する激情的なジーグ、フガートの様式をとっており2部構成で書かれています。
調性 | ト短調 |
---|---|
拍子 | 3/8拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/4拍子(サラバンド) 2/2拍子(ガヴォット) 6/8拍子(ジーグ) |
難易度 | 7(上級) |
イギリス組曲 第4番 BWV.809
- プレリュード:明朗で活発な楽想、緻密に配置された音型が優雅な響きをもたらします。第3番の構成と同様、主要楽節を反復する構成で長大なスケールとなっています。
- アルマンド:晴れ晴れとした健やかな音色が印象的、3連符の音型と対位法で組み立てられた構成が特徴です。
- クーラント:活き活きと意欲的な歩みを見せる楽曲、短くシンプルな構成でまとめられています。
- サラバンド:前曲までの明るい曲想から抜け出し、厳かで神秘的な雰囲気を醸し出します。反復時の楽節は長く引き伸ばしながらじっくり奏されます。
- メヌエット:前向きで朗らかな第1メヌエットと、神妙な面持ちの第2メヌエット、対照的な二つのメヌエットで構成されます。
- ジーグ:ファンファーレを連想させる祝祭的な音型から始まり、終焉まで快活な曲想が続きます。
調性 | ヘ長調 |
---|---|
拍子 | 4/4拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/4拍子(サラバンド) 3/4拍子(メヌエット) 12/8拍子(ジーグ) |
難易度 | 6(中級) |
イギリス組曲 第5番 BWV.810
- プレリュード:冒頭は狂詩曲を連想させるフーガ、終始留まることのない厳格な音色が印象的で、主題と副題を反復しながら長大な構成で仕上げられています
- アルマンド:静かで澄み切った旋律が印象的、2声部が対位法的に進みます。
- クーラント:内向的なアルマンドから一転、音階的な進行が特徴で明朗な音色を奏でます。
- サラバンド:感傷的で涙を誘う旋律、対位法的に組み立てられた3声が悲し気に歌います。
- パスピエ:こだますように響く軽快な主題、後に長閑で田園的な楽節が現れ、冒頭の主題の反復に移ります。
- ジーグ:この最終章では厳粛さを取り戻し半音階的に進みます。目まぐるしく移り変わり調性が印象的です。
調性 | ホ短調 |
---|---|
拍子 | 6/8拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/4拍子(サラバンド) 3/8拍子(パスピエ) 6/8拍子(ジーグ) |
難易度 | 7(上級) |
イギリス組曲 第6番 BWV.811
- プレリュード:絶望感に包まれたような長い序奏が響き渡ります。静かに奏でられる音型はやがて急速にテンポを上げ、激しく変容、フガートの形式で繰り返し奏されます。
- アルマンド:上声部と下声部が奏でる二重主題が特徴、瞑想的な雰囲気でゆっくりと歌われます。
- クーラント:構造的にシンプルな二部構成で書かれています。前曲の瞑想感を引き継ぐように奏されます。
- サラバンド:ヘンデルの曲を連想させる教会的な楽想、オルガンを想わせる和声が強く感じられます。
- ガヴォット:第1と第2のガヴォットが存在、ミュゼット風のトリオを持ち、明るく小気味よく進行します。
- ジーグ:冒頭から退廃的で重い主題が鳴り響きます。中盤で現れる長いトリラーが、不安感を一層掻き立てます。
調性 | ニ短調 |
---|---|
拍子 | 9/8拍子(プレリュード) 4/4拍子(アルマンド) 3/2拍子(クーラント) 3/2拍子(サラバンド) 2/2拍子(ガヴォット) 12/16拍子(ジーグ) |
難易度 | 7(上級) |
- 2025年1月1日、記事内容を更新