ラフマニノフ 幻想的小品集の難易度・解説
幻想的小品集 第1曲「エレジー」
幻想的小品集 第2曲「前奏曲」
幻想的小品集 第3曲「メロディ」
幻想的小品集 第4曲「道化役者」
幻想的小品集 第5曲「セレナード」
ラフマニノフ 幻想的小品集の楽曲一覧
ラフマニノフの幻想的小品集Op.3は全5曲で構成されます。
この楽曲集はラフマニノフがモスクワ音楽院卒業の翌年に作曲されたもの、
若き日の小作品でありながらも、既にラフマニノフらしいロマンチックで情緒溢れる情景描写が垣間見えます。
曲名 | 調性 | 作品曲号 | 難易度 |
---|---|---|---|
幻想的小品集 第1曲「エレジー」 | 変ホ短調 | Op.3-1 | 5(中級) |
幻想的小品集 第2曲「前奏曲」 | 嬰ハ短調 | Op.3-2 | 5(中級) |
幻想的小品集 第3曲「メロディ」 | ホ長調 | Op.3-3 | 5(中級) |
幻想的小品集 第4曲「道化役者」 | 嬰ヘ短調 | Op.3-4 | 6(中級) |
幻想的小品集 第5曲「セレナード」 | 変ロ短調 | Op.3-5 | 4(中級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ラフマニノフ 幻想的小品集の難易度・解説
ラフマニノフの幻想的小品集Op.3に収録された楽曲はすべて中級者向けとなっています。
人気曲の「エレジー」は5(中級)の難易度に属しており、ラフマニノフの作品の中では比較的弾きやすい楽曲に分類されます。この曲は、メランコリックな感情をいかにして歌うか、中間部の抑揚をどれだけドラマティックに響かせるか、など技巧的な難しさよりも表現力に大きな課題が置かれています。
幻想的小品集 第1曲「エレジー」
モデラート、4/4拍子、自由な3部形式
序奏からメランコリックな重い旋律がゆっくりと響き渡ります。
この旋律は決して退廃的なものではなく、儚く美しいもの、悲哀の念に見事な情緒美を映し出しています。
中間部はドラマチックに感情を押し出し、終局はクレッシェンドとフォルティッシモによる和音の下降で華々しく曲を締めくくります。
調性 | 変ホ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:30 |
難易度 | 5(中級) |
幻想的小品集 第2曲「前奏曲」
レント、4/4拍子
フォルティッシモで重厚に鳴り響く左手と、ピアノピアニッシモで囁く右手の旋律が印象的、
抒情的に映し出される世界は、中間部に荒れ狂うような情景に変わりクライマックスを迎えます。
再現部はより荘厳で力強く和音を響かせ、最後の音色は深い海の底に沈むように消えてゆきます。
曲中のあまりに印象深い音色からこの前奏曲には「鐘」という表題がつけられています。
調性 | 嬰ハ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 4:20~5:20 |
難易度 | 5(中級) |
幻想的小品集 第3曲「メロディ」
アダージョ・ソステヌート、4/4拍子、3部形式
主部は右手の3連音符の和音に乗せて、左手の甘い旋律が抒情的に歌われます。中間部は高音部に旋律を預け渦巻くような伴奏と共に劇的な高揚を見せます。再現部はピアニッシモにて奏られ、最後は消え入るように曲を閉じます。
調性 | ホ長調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 3:40~4:20 |
難易度 | 5(中級) |
幻想的小品集 第4曲「道化役者」
アレグロ・ヴィヴァーチェ、4/4拍子、3部形式
序奏から軽妙でどこかおどけたような印象が感じられます。主部は陽気で楽しげな道化役者らしい雰囲気を醸しながらも、急速に上下するアルペジオの華々しい技巧が目を引きます。
中間部には一瞬バルカロール風な優雅な情景が見られますが、再現部にて陽気な道化役者の演出が戻ってきます。
調性 | 嬰ヘ短調 |
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拍子 | 4/4拍子 |
演奏時間 | 3:10~3:40 |
難易度 | 6(中級) |
幻想的小品集 第5曲「セレナード」
ソステヌート、3/8拍子
序奏はいかにもセレナードらしい夜曲を連想させる静かなメロディが鳴り響きます。
主部は優しいワルツのリズムの上に、何とも切ない旋律が響き渡ります。
この旋律は形を変えながら反復し、最後は煌びやかなアルペジオの旋律と共に華麗に曲を閉じます。
調性 | 変ロ短調 |
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拍子 | 3/8拍子 |
演奏時間 | 2:50~3:30 |
難易度 | 4(中級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新