リスト 愛の夢一覧

「愛の夢」はリストが書いた歌曲をピアノ独奏版に編曲された作品です。
世間では愛の夢のタイトルで親しまれる曲ですが、実は「夜想曲（ノクターン）」という表題がつけられており、曲が持つ抒情性と甘い旋律はショパンのノクターンを想起させます。
この曲が完成した1850年はショパンが逝去した翌年に当たり、時期的にもリストは盟友ショパンの死を悼みながらこの曲想を描き、オマージュとして「夜想曲（ノクターン）」の表題を捧げたと考えられています。

曲名	調性	作品番号	難易度
愛の夢 第1番	変イ長調	S.541-1	6（中級）
愛の夢 第2番	ホ長調	S.541-2	6（中級）
愛の夢 第3番	変イ長調	S.541-3	7（上級）

※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。

リスト 愛の夢の難易度・解説

リストの愛の夢は3曲で構成されます。
第1曲と第2曲が「6（中級）」、そして最も人気がある第3曲は「7（上級）」に属します。
第3曲は、広く跳躍する伴奏、急速に展開されるカデンツァの運指を正確に響かせる技術が求められ、
そして甘美で抒情的な旋律を表現するための高い感受性が必要とされます。

愛の夢 第1番 S.541-1

アンダンテ・エスプレシーヴォ、4/4拍子、変イ長調、3部形式、
ウーラントの詩「高貴な愛」に基づき書かれた曲、
この詩は「現世の幸福を諦め、殉教者への道を歩む」そんな人物の物語である。
甘美でしっとりと響く抒情的な音色、高音部には繊細で輝かしい装飾が施されており、眠りを誘うような夜想曲の印象を持っています。

愛の夢 第2番 S.541-2

3/4拍子、ホ長調、3部形式で構成、
ウーラントの詩「私は死んだ」による歌曲から生まれた作品。
最愛の女性の目前にて死を迎え、彼女の眼の中に天国を見る男性の切ない物語、
冒頭から切なく涙を誘う旋律、中間部は希望と共に飛翔するような清々しい情感を描き、静かな再現部の後に消えゆくように曲を閉じます。

愛の夢 第3番 S.541-3

ポコ・アレグロ・コン・アフェット、6/4拍子、変イ長調、
リストが作曲した歌曲「愛し得る限り愛しなさい」から誕生した独奏曲。
愛の夢曲集の中でも最も知られている楽曲と言えるでしょう。
冒頭から甘美で抒情的な旋律がゆっくりと歌われます。情熱的なカデンツァの後に迎える大胆な転調、中間部で興奮は頂点に達し、テンポを速めながら再現する主題はより熱い愛情が込められ、高揚感と余韻を残して曲を締めくくります。

• 2024年9月3日、記事内容を更新