ショパンのワルツ 解説・難易度
ワルツ 第1番 Op.18「華麗なる大円舞曲」
ワルツ 第2番 Op.34-1「華麗なる円舞曲」
ワルツ 第3番 Op.34-2「華麗なる円舞曲」
ワルツ 第4番 Op.34-3「華麗なる円舞曲」
ワルツ 第5番 Op.42「大円舞曲」
ワルツ 第6番 Op.64-1「子犬のワルツ」
ワルツ 第7番 Op.64-2
ワルツ 第8番 Op.64-3
ワルツ 第9番 Op.69-1「別れのワルツ」
ワルツ 第10番 Op.69-2
ワルツ 第11番 Op.70-1
ワルツ 第12番 Op.70-2
ワルツ 第13番 Op.70-3
ワルツ 第14番 遺作
ワルツ 第15番 遺作
ワルツ 第16番 遺作
ワルツ 第17番 遺作
ワルツ 第18番 遺作
ワルツ 第19番 遺作
ショパンのワルツ 一覧
ショパンのワルツ集には19の曲が存在します。
第1~13番までは作品番号が存在しており、以降第14~19番は遺作として知られています。
軽快で小犬の走り回る様子が思い浮かぶ「小犬のワルツ」は特に有名ですが、
その他の曲目も優美さ華麗さを持ち合わせており、聴き手に楽しさと高揚感をもたらします。
曲名 | 調性 | 作品番号 | 難易度 |
---|---|---|---|
ワルツ 第1番「華麗なる大円舞曲」 | 変ホ長調 | Op.18 | 6(中級) |
ワルツ 第2番「華麗なる円舞曲」 | 変イ長調 | Op.34-1 | 6(中級) |
ワルツ 第3番「華麗なる円舞曲」 | イ短調 | Op.34-2 | 5(中級) |
ワルツ 第4番「華麗なる円舞曲」 | ヘ長調 | Op.34-3 | 6(中級) |
ワルツ 第5番「大円舞曲」 | 変イ長調 | Op.42 | 7(上級) |
ワルツ 第6番「子犬のワルツ」 | 変ニ長調 | Op.64-1 | 6(中級) |
ワルツ 第7番 | 嬰ハ短調 | Op.64-2 | 6(中級) |
ワルツ 第8番 | 変イ長調 | Op.64-3 | 6(中級) |
ワルツ 第9番「別れのワルツ」 | 変イ長調 | Op.69-1 | 5(中級) |
ワルツ 第10番 | ロ短調 | Op.69-2 | 4(中級) |
ワルツ 第11番 | 変ト長調 | Op.70-1 | 5(中級) |
ワルツ 第12番 | ヘ短調 | Op.70-2 | 5(中級) |
ワルツ 第13番 | 変ニ長調 | Op.70-3 | 5(中級) |
ワルツ 第14番 | ホ短調 | 遺作 | 6(中級) |
ワルツ 第15番 | ホ長調 | 遺作 | 5(中級) |
ワルツ 第16番 | 変イ長調 | 遺作 | 5(中級) |
ワルツ 第17番 | 変ホ長調 | 遺作 | 4(中級) |
ワルツ 第18番 | 変ホ長調 | 遺作 | 5(中級) |
ワルツ 第19番 | イ短調 | 遺作 | 3(初級) |
※難易度は「G.Henle」の評価を参考にしています。
ショパンのワルツ 解説・難易度
ワルツ 第1番 Op.18
「華麗なる大円舞曲」
ショパンが2度目のウィーン訪問時、当時彼が21歳(1831年)の時に作曲されたワルツです。
「短い序奏」「小さな5つのワルツ」「短いコーダ」で構成されます。
ショパンのワルツの中で最も規模が大きく、舞踏会用として実用性が高い作品です。
明るく、極めて華麗な曲想、バレエ音楽「レ・シルフィード」にも用いられています。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
演奏時間 | 4:30~5:40 |
難易度 | 6(中級) |
楽譜LINK | 無料楽譜 (Chopin waltz No.1 Op.18) |
ワルツ 第2番 Op.34-1
「華麗なる円舞曲」
この曲は1838年に作曲され、ショパンにとって2作目のワルツとなります。
1作目の作曲から7年が経過しており、スケールが大きくいっそう円熟味を帯びた印象が伺えます。
舞踏会を想わせる絢爛豪華な曲想、16小節の序奏と六部のワルツで構成され、最後は技巧を必要とする華々しいコーダで曲を締めくくります。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
演奏時間 | 4:00~4:50 |
難易度 | 6(中級) |
ワルツ 第3番 Op.34-2
「華麗なる円舞曲」
ワルツの第3番は、1831年にウィーンで作曲、ディヴリー男爵に献呈された作品です。
物憂い雰囲気が支配する暗い曲想、ワルツには異例の「レント」の速度を採用されています。
第1番・第2番の軽快で快活なワルツに反して、重苦しく気鬱な情景はまるでショパンの心に潜む苦悩の心が込められているようです。
調性 | イ短調 |
---|---|
演奏時間 | 4:20~5:50 |
難易度 | 5(中級) |
楽譜LINK | 無料楽譜 (Chopin waltz No.3 Op.34-2) |
ワルツ 第4番 Op.34-3
「華麗なる円舞曲」
1838年作曲されたこの曲は「子猫のワルツ」の愛称で親しまれています。
無窮動風の旋律は、子猫が鍵盤の上に飛び乗り走り回った様子を見て、楽譜に起こしたと言われています。
全体的に明るく快活な曲想であり、中間に見られる前打装飾音と共に上昇していく構成が、子猫の細やかな足取りを連想させます。
調性 | ヘ長調 |
---|---|
演奏時間 | 2:10~2:50 |
難易度 | 6(中級) |
ワルツ 第5番 Op.42
「大円舞曲」
1840年に作曲された大曲、全ワルツの中で最も規模が大きく優雅な作品である。
3拍子の伴奏と2拍子の旋律が組み合わされ疾走する動きと、華々しく雄大な表現、
運指の技巧的だけでなく、曲全体のバランスを整えるための高い技術が求められます。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
演奏時間 | 3:20~4:30 |
難易度 | 7(上級) |
ワルツ 第6番 Op.64-1
「子犬のワルツ」
かわいらしい小犬が軽快に走り回る姿が想像できます。
この曲はショパンが愛したジョルジュ・サンドが飼っていた小犬が、自分のしっぽを追いかけはしゃぎ回っていた様子を表現したものと言われています。
左手の3拍子と右手の軽快な旋律をリズミカルに跳び跳ねるように演奏してみましょう。
調性 | 変ニ長調 |
---|---|
演奏時間 | 1:40~2:30 |
難易度 | 6(中級) |
楽譜LINK | 無料楽譜 (Chopin waltz No.6 Op.64-1) |
ワルツ 第7番 Op.64-2
有名な「子犬のワルツ」と同時期に作曲された曲、
子犬のワルツの明るいイメージとは対照的な一面があり、メランコリックでやるせない詩情感が漂います。
ポーランドの代表的舞曲であるマズルカ的な要素も感じられ、ショパンの曲らしい優美で味わい深い作品に仕上がっています。
調性 | 嬰ハ短調 |
---|---|
演奏時間 | 3:00~4:00 |
難易度 | 6(中級) |
楽譜LINK | 無料楽譜 (Chopin waltz No.7 Op.64-2) |
ワルツ 第8番 Op.64-3
1847年に出版、ショパンの生前に発表された最後のワルツ、
三部形式でつくられた極めて明るい作品、多数の調性に移り変わりながら、全体的に幸福感に満ち溢れた表情を見せてくれます。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
演奏時間 | 3:00~4:00 |
難易度 | 6(中級) |
ワルツ 第9番 Op.69-1
「別れのワルツ」
「別れのワルツ」として広く知られている名曲、優雅で魅惑的な旋律の中に、どこかやるせない心象表現が感じらます。
これはショパンが25歳の時に経験した、失恋の思いを綴っていると伝えられています。
身分の違いと、自身の病が原因で実を結ばなかった切ない恋、ショパンは別れ際、相手のマリア・ヴィジンスカへこの曲を贈ったという。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
演奏時間 | 3:00~4:40 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第10番 Op.69-2
短いロンド形式で書かれたロ短調のワルツ、ポーランドの民族音楽マズルカを連想させる一面があります。
全体的にセンチメンタルで、哀愁漂う切ない作品です。
調性 | ロ短調 |
---|---|
演奏時間 | 3:00~4:50 |
難易度 | 4(中級) |
ワルツ 第11番 Op.70-1
三部形式で書かれたワルツ、
主部はマズルカ風な要素を持ちながら、流麗で華やかな印象。
対して中間部はレントラー風のリズムを持ち、落ち着いた表情を見せる。
幅広い跳躍やアルペジオが盛り込まれ、少しテクニックを要します。
調性 | 変ト長調 |
---|---|
演奏時間 | 1:40~2:20 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第12番 Op.70-2
1841年に作曲された晩年のワルツ、簡潔な二部形式で書かれ、
センチメンタルな印象を持ち、甘美で美しい旋律が緩やかに流れます。
調性 | ヘ短調 |
---|---|
演奏時間 | 1:40~3:30 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第13番 Op.70-3
ショパンの初恋の相手「コンスタンティア・グラドコフスカ」との日々が描かれた作品と言われています。
三部形式のワルツ、甘美で優しい旋律が印象的で、まるで憧れと喜びに満ちた青春の情景が思い浮かぶようです。
調性 | 変ニ長調 |
---|---|
演奏時間 | 2:30~3:40 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第14番 遺作
1829年作曲、1855年出版された三部形式の円舞曲、
おどおどと不安を煽る導入、中間部は華やかで美しくうっとりとした旋律が流れるように続きます。
コーダは華々しく散り去るように幕を閉じます。演奏には高い技巧と瞬発力が求められられます。
調性 | ホ短調 |
---|---|
演奏時間 | 2:20~3:40 |
難易度 | 6(中級) |
ワルツ 第15番 遺作
1829~1830年に作曲されたと考えられています。
ショパンが19~20歳、ワルシャワ音楽院で学ぶ青春の日々、円熟前の溌剌とした印象が伺えます。
調性 | ホ長調 |
---|---|
演奏時間 | 2:00~2:20 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第16番 遺作
1827年の作品、ワルシャワ音楽院で作曲を学んだエルスナーの娘エーミリのアルバムに保存されていた作品、若さ溢れる前向きな楽曲で、軽快で清々しい印象を持っています。
調性 | 変イ長調 |
---|---|
演奏時間 | 1:20~2:00 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第17番 遺作
1840年の作品、弟子のエミール・ガヤールに献呈、
温かみに包まれたゆったりとした曲調のワルツ、中間部にため息まじりの不安げな面持ちを表現し、主部・再現部との対比を生み出しています。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
演奏時間 | 1:40~2:20 |
難易度 | 4(中級) |
ワルツ 第18番 遺作
1829年~1830年に書かれた作品。第16番のワルツと同じくエーミリのもとで保存されていました。
のどかな風景のなか小動物が駆け回るような愛らしい曲調、中間部は勇ましい和音を響かせ緊張感を与えます。
オーストリアのボヘミア地方に伝わるレントラー舞曲のような印象も感じます。
調性 | 変ホ長調 |
---|---|
演奏時間 | 2:30~3:00 |
難易度 | 5(中級) |
ワルツ 第19番 遺作
1843年頃に書かれたと考えられる作品、
切なく物寂し気な旋律が印象的、和声の使い方・構成ともにシンプルに作られています。
調性 | イ短調 |
---|---|
演奏時間 | 1:50~2:20 |
難易度 | 3(初級) |
- 2024年9月3日、記事内容を更新